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【インタビュー】リーグ連覇からの苦悩の3年 髙津臣吾が明かす「ヤクルトで起きていたことのすべて」 (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

【ベイスターズとの天王山で3連勝】

── 8月26日からは、2位のDeNAとのビジター3連戦を迎えました。それまで2位チームに10ゲーム以上の差をつけていたものの、その時点で差はわずか4ゲームにまで縮まっていました。

髙津 あの時、ベイスターズは8連勝中で、しかもホームでは17連勝中。とにかく勢いがあって強かった。でも、「3連敗さえしなければいい。ふつうに戦えばそれはない」と思っていたので、特に選手たちへ声をかけることはしませんでした。

── その3連戦では、村上選手が1試合2本を含む4本塁打を放ち、途中加入のキブレハン選手も1試合3本塁打など、チームは3試合で合計12本の本塁打を記録し、見事3連勝。再びゲーム差を7に広げました。

髙津 自分で言うのもなんですが、負けない自信はありました。1つ勝ったら、明日も勝てると思いました。3つ勝てたのは、夏場以降に力をつけたから。そういう時って乱打戦になっても勝てるし、投手戦になっても逃げきれる。そのくらいチームはしっかりしていました。

── 9月の10連戦を前に、先発投手陣のなかからも新型コロナの陽性判定者が出ましたが、チームは崩れることなくマジックを順調に減らしていきました。そして9月25日のDeNA戦。2年目の丸山和郁選手がサヨナラ安打を放ち、チームは2年連続のリーグ優勝を達成。ついに、本拠地・神宮球場での胴上げとなりました。

髙津 まさかのマル(丸山)が打ちましたね(笑)。ファンのみなさんも神宮での胴上げを見たいと思っていたでしょうし、しかも終わり方が1対0のサヨナラ勝ちですからね。いろいろな喜びや想いが詰まった、特別な夜だったと思いますね。

【自信があった日本シリーズでの敗戦】

── 2年連続でオリックスとの対戦となった日本シリーズは、2勝1分からよもやの4連敗となってしまいました。

髙津 先ほども話しましたが、自信はありました。ただ、謙虚に戦わなければいけないし、足元をすくわれてはいけないと思っていたつもりでしたが、今にして思えば、どこかに驕りがあったのかもしれません。第2戦の9回裏、(内山)壮真の代打3ランで同点に追いついた場面もありましたが、あそこで勝ちきれなかった。

 そして、バント処理の際に(サイ)スニードとムネ(村上)が交錯するようなお見合いプレーがあったりと、ほんの些細なことが積み重なっていったんです。最後、塩見が空振り三振に倒れた時は、「これでは絶対に勝てない」と痛感しました。勢いとか流れとか、ひとつのプレーに大きな意味があるんだと、あらためて思い知らされました。

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