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【プロ野球】ベイスターズ・竹田祐が浴びたプロの洗礼と直後につかんだ自信「あの歓声でおかしくなりそうだった」 (3ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi

「なにごとにも真面目に取り組める人間ですし、コツコツと地道にやっていくのがとても上手な選手なので、すごく尊敬しているんです。開幕当初は苦しい思いもしたでしょうが、どんな状況であってもやることは変わらないし、僕としては問題ないと思っていました。なにかが噛み合えば結果が出ると思っていたし、後半それが実を結んで本当によかったなって。何に対しても真剣な人間ですし、ゲームでも何でも負けたりすると泣くぐらい悔しがるんですよ。すべてにおいて負けず嫌いですね」

 そう言うと、入江は自分のことのようにうれしそうな表情を浮かべた。竹田のプロ初勝利を記念して、ブランド品の財布をプレゼントしたという。

 さて所属するDeNAはクライマックスシリーズ(CS)へと挑むが、巨人とのファーストステージは東克樹、アンドレ・ジャクソン、アンソニー・ケイの三本柱の先発が予想されるので、竹田の出番があるとすれば勝ち抜いた先にあるファイナルステージの阪神戦の可能性が高い。

 竹田は9月20日の阪神戦で、履正社高3年春の選抜決勝戦以来8年ぶりに甲子園のマウンドに立ち、7回1失点の好投で勝利投手になっている。もしCSで登板機会があればいいイメージで試合に挑めそうかと尋ねると、竹田は目に力を入れて言った。

「いや、おそらく投げることになったら、前回とはまったく違う攻め方をしてくると思うので、いいイメージというか、とにかく相手に飲まれないようにしたいです」

 そして、こう付け加えた。

「投げられるものなら、投げたいですね」

 マウンドに上がった途端に、それまでの極度の緊張から一気に解き放たれ、淡々と試合をつくる本番に強いルーキー。DeNAが日本一を連覇するためにキーマンとなる投手であることは間違いない。


竹田祐(たけだ・ゆう)/1999年7月5日生まれ。大阪府出身。履正社高では3年春の選抜で準優勝。高校卒業後は明治大に進み、東京六大学リーグ通算11勝をマーク。その後、三菱重工WESTに入社し、2024年のドラフトでDeNAから1位で指名され入団。25年8月16日の中日戦でプロ初登板、初先発、初勝利を挙げた

著者プロフィール

  • 石塚 隆

    石塚 隆 (いしづか・たかし)

    1972年、神奈川県出身。フリーランスライター。プロ野球などのスポーツを中心に、社会モノやサブカルチャーなど多ジャンルにわたり執筆。web Sportiva/週刊プレイボーイ/週刊ベースボール/集英社オンライン/文春野球/AERA dot./REAL SPORTS/etc...。現在Number Webにて横浜DeNAベイスターズコラム『ハマ街ダイアリー』連載中。趣味はサーフィン&トレイルランニング。鎌倉市在住

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