【プロ野球】引退決断の田中健二朗インタビュー「もうこれ以上、頑張れない」「最後はハヤテでもがくことができてよかった」 (2ページ目)
若い時は結果を出せずに苦しんだが、プロ7年目にリリーバーへ転身するとチームの主力として一気に花を咲かせた。代名詞となるカーブを武器に2年連続60試合登板を達成しブルペンを支えるも、2019年にトミー・ジョン(TJ)手術を行なうなど決して順風満帆な野球人生ではなかった。
【ベイスターズを戦力外になりハヤテに入団】
そして2023年オフに16年間過ごしたベイスターズをリリースされると、投手としての燻る心の炎を鎮めることはできず、学生時代を過ごした静岡に誕生した新球団であるハヤテに加入をした。
あれから2シーズン、田中はマウンドを降りることを決断した。引退の理由について、田中は目線を外し、ぽつりぽつりと語り出した。
「TJ手術から復帰した時に、第二の人生じゃないけど40歳までやりたいなって淡い思いはあったんですけど、ハヤテに来たことで現実的な目標がNPB12球団復帰になりました。だから今年はその思いだけでプレーしてきたし、もしダメだったら引退しようと覚悟していたんです」
この会見前までの田中のスタッツは、31試合に登板し、防御率2.08。決して悪い数字ではなかったが、7月31日の選手契約可能期限までにNPB12球団から田中に声はかかることはなかった。厳しい現実を受け入れるしかなかった。
「小さいケガはあるけど、まだ投げることはできます。『身体が元気なら続ければいいのに』といった言葉もいただくのですが、覚悟して挑んだシーズンでしたし、目標を達成できずに続けるのは自分のなかで何か違うなという思いもあったんです」
そう言うと田中は沈黙し、しばらくして口を開いた。
「うん。正直、もうこれ以上頑張れないな......というのが僕のなかにありましたね」
無念さが漂う。身体は動くが、もう心がついていかない。それほど今年に賭ける思いは強かった。はたして獲得期限が過ぎた翌8月1日を、どんな気持ちで迎えたのだろうか。
「覚悟はしていましたが、本当に引退なんだなって思ったら、グッとこみ上げてくるものがあって。あの時は僕自身、今日の嵐みたいな感じでしたね」
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