【プロ野球】150キロ投手が続々と誕生する理由 オリックス3連覇を支えた中垣征一郎が語る投手育成と球速アップの真実 (4ページ目)
「選手が自分の持つ能力を上げて、球速を上げようとした時、どんなに理論背景が明確になって反映されたとしても、解決しきれないことがずっとあると僕は思います。むしろ、そういうことと並行して進んでいくものなんだと、自覚しなきゃいけないんじゃないか、と思います」
中垣が育成の立場で投手の故障防止に努めていた一方、監督の中嶋は2021年の就任時から「なるべく3連投させない」起用を実行。何よりも選手の健康状態を気遣う方針のもと、エースの山本由伸(現・ドジャース)を中心とする投手力で3連覇が達成された。しかし、2024年はリリーフ陣で不調の投手が続出。2023年のWBCで優勝に貢献した宇田川、山﨑も結果を残せず今に至る。
「投手と守りを中心としたチームだったことはそうなんですけど、3連覇目は野手もとてもよく打って、あの3年間、本当に選手はものすごく頑張って。で、24年に思うようにいかない選手が出た。それを受け止めなきゃいけないのはベンチであって、選手ではないと思いながらも、やはりプロ野球なので、どうやったら選手個々を鼓舞できるのか、ということは最後まで頑張ったつもりです。
ただ、たとえば今、宇田川、山﨑が苦しんでいる。じゃあ、あの最高のステージに行った経験が彼らにとって無駄かといったら、僕は絶対そうじゃないと思っています。彼らはあのステージで、あのポテンシャルを見せたから、これから先、第二、第三のチャンスを得る可能性がある。くすぶったまま、この4年間を過ごしていたら、今どうなっているか、わからないわけですよね」
(文中敬称略)
著者プロフィール
高橋安幸 (たかはし・やすゆき)
1965年、新潟県生まれ。 ベースボールライター。 日本大学芸術学部卒業。 出版社勤務を経てフリーランスとなり、雑誌「野球小僧」(現「野球太郎」)の創刊に参加。 主に昭和から平成にかけてのプロ野球をテーマとして精力的に取材・執筆する。 著書に『増補改訂版 伝説のプロ野球選手に会いに行く 球界黎明期編』(廣済堂文庫)、『根本陸夫伝 プロ野球のすべてを知っていた男』(集英社文庫)など
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