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大谷翔平から三振を奪った元チェコ代表、オンドジェイ・サトリアはオリックスファンになっていた

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi

大谷翔平から三振を奪った男〜チェコ代表 オンドジェイ・サトリアの今(後編)

 WBC出場が決まった当初、チェコ代表の投手、オンドジェイ・サトリアに与えられたのはリリーフとしての役割だった。しかし大会開幕後、チームの方針は初戦の中国戦を最重要ゲームとする方向に変わっていった。選手層、とくに投手層の薄いチェコが国際大会で戦うには、どこかの試合にターゲットを絞り、総力戦で勝ちに行く必要がある。予選通過はまさにその戦略の成果だった。

2023年のWBCで日本戦に先発したチェコ代表のオンドジェイ・サトリア photo by Sankei Visual2023年のWBCで日本戦に先発したチェコ代表のオンドジェイ・サトリア photo by Sankei Visualこの記事に関連する写真を見る

【直前に決まった日本戦の先発】

 WBCでも、次回大会の本戦出場を確保するには、どこかで勝ち星を挙げることが不可欠だった。グループ最下位に終わり再び予選に回るようなことになれば、WBC本戦は再び遠い夢に戻ってしまう。首脳陣は熟考の末、中国戦に全力を注ぐ決断を下した。

 その結果、サトリアにグループ最強の日本戦の先発が任されることになった。正直、勝利を期待できる相手ではなかった。しかし、サトリアはこの先発指名を受け、大喜びで飛び上がった。

「オフの間にハジム監督から『日本戦はリリーフだ』と言われていたんだ。先発を告げられたのは、試合直前だったね。日本戦に予定していた先発投手を中国戦に回すことになったんだよ。もう、ラッキーとしか言いようがないよ。だって侍ジャパン相手に投げられるんだもの。アマチュアのピッチャーが世界のトッププロチームと対戦できるんだから、うれしくないわけがないじゃないか。初めてWBCを見たのは2017年の大会で、それからずっと侍ジャパンと対戦するのが夢だったんだ」

 試合が始まると、サトリアはとにかく視野を狭めた。場所は東京ドーム。これまで経験してきたのは、500人も入れば満員といった、小さなスタジアム、いやボールパークと呼ぶべき場所ばかりだ。4万人もの大観衆を視界に入れないほうがよいと判断したのだ。

 格上どころか、雲の上の存在と言っても過言ではない侍ジャパンにも目を向けず、サトリアはただキャッチャーのミットめがけて丁寧に投げることだけを心がけた。

「NPBの試合はチェックしていたから、何人かの選手のことは知っていたよ。でも試合では、とにかくミットだけを見ることに集中したんだ」

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著者プロフィール

  • 阿佐 智

    阿佐 智 (あさ・さとし)

    これまで190カ国を訪ね歩き、22カ国で野球を取材した経験をもつ。各国リーグともパイプをもち、これまで、多数の媒体に執筆。国内野球についても、プロから独立リーグ、社会人野球まで広くカバー。数多くの雑誌、ウェブサイトに寄稿している。2011、2012アジアシリーズ、2018アジア大会、2019侍ジャパンシリーズ、2020カリビアンシリーズなど国際大会取材経験も豊富。

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