【プロ野球】150キロ投手が続々と誕生する理由 オリックス3連覇を支えた中垣征一郎が語る投手育成と球速アップの真実 (2ページ目)
当初、中垣の肩書きはコーチではなく、育成統括GM補佐、コーチング・パフォーマンスディレクターだった。だが一貫していたのは、育成の立場でチームに携わること。その目線で毎年入団する新人を見てきて、球が速い投手が増えていると実感することはあっただろうか。
「アマチュアの時にどれだけ速くても、入ってからうまくいかないケースがあります。プロでは"速いプラスもうひとつの要素"が絶対必要になってくるので、そこまで含めてアマチュアのレベルが今どこにあるのか、つぶさには見ていない僕にはわかりません。ただし、最大値として出せるスピードが速い投手は、以前に比べて多くなっている。これは間違いないと思います」
【レベルの高いリリーフが増えた理由】
素材として速い投手は確かに増えてきたようだ。また一方では、「そうでもなかったピッチャーも速くなるケースもある」という。一例として、いずれもオリックスで指導した育成出身の東晃平、最速160キロを出した山﨑颯一郎の名が挙がる。
「東はもともと140キロ台前半だったのが、先発でコンスタントに150キロ台を投げられるようになった。あとは颯一郎の場合、高校時代はあまり140キロが出なかったけど、190センチの長身と、時々140キロを超えるいいボールがあってドラフト下位で入ったという選手です。それが150キロを超えるようになったとおり、プロに入ってきてから球速を上げている選手もいます」
プロで球速を上げるには、当然、選手への指導があってのことと思われる。以前に比べ、そうした指導がうまくいくケースも増えているのだろうか。
「どういうふうにトレーニングをして、体力的に各要素を上げて、どういう噛み合わせのなかで投げると球速が上がりやすく、だいたい狙ったところにいきやすくなるか。そこにはいろんなアイデアがあると思うんですけど、そのアイデアに対して指針を出せるオプションといったものが、昔に比べて明確になってきているんじゃないかという感じはします。
たとえば、走ることはものすごく大事で、走れる体でいることも同じように大事です。でも、大事だからといって、ほかにやらなきゃいけない練習内容が圧迫されるようなトレーニングの組み方というのは、ピッチャーとしてうまくいかない可能性があると思います。そして、そういったことが以前に比べて整理整頓されてきた結果、出てこられるようになった選手もいるわけです」
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