検索

プロ野球で本塁打が減っている理由とは? 稀代のホームランアーチスト・中村剛也が明かす「投手の高速化と球質」 (4ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki

 その状態から転換し、2008年に46本塁打と爆発的に量産。初のタイトルを獲得できた背景に何があったのか。

「監督の渡辺久信さんに『ホームラン打ってこい』って言われていましたから。それで割り切って、僕は打つことができたんです」

 2008年から監督に就任した渡辺の明確な方針により、それまでの迷いが消えた。同年の中村の三振数は162個でリーグワースト、打率は2割4分4厘。三振も打率も二の次にした結果、日本を代表するホームランバッターが誕生し、20年近く経った今も続いている。

「今は『ホームラン打ってこい』とはなかなか言われないですけど(笑)。でも、僕はそれがベースとしてありますし、今の時代は、特に指導者の人が言ってあげないといけないかもしれないですね」

 三振、併殺打を嫌う傾向が強い日本球界。遠くに飛ばせる素材を伸ばすためには、指導者の思いきった方針、我慢も必要だろう。リスクを恐れず、今は"打低"とあきらめず。育成に取り組んでもらいたい。

(文中敬称略)

著者プロフィール

  • 高橋安幸

    高橋安幸 (たかはし・やすゆき)

    1965年、新潟県生まれ。 ベースボールライター。 日本大学芸術学部卒業。 出版社勤務を経てフリーランスとなり、雑誌「野球小僧」(現「野球太郎」)の創刊に参加。 主に昭和から平成にかけてのプロ野球をテーマとして精力的に取材・執筆する。 著書に『増補改訂版 伝説のプロ野球選手に会いに行く 球界黎明期編』(廣済堂文庫)、『根本陸夫伝 プロ野球のすべてを知っていた男』(集英社文庫)など

フォトギャラリーを見る

4 / 4

キーワード

このページのトップに戻る