プロ野球で本塁打が減っている理由とは? 稀代のホームランアーチスト・中村剛也が明かす「投手の高速化と球質」 (3ページ目)
手を使って打つことまで想像してしまうほど、バットの存在がもどかしいときもあるのだろう。ただ、「道具を使う」という意味では、いわゆる"魚雷バット"が芯の位置を変えたような、新開発の可能性はある。手を使うように振るバットはあり得ないとしても、道具の進化には期待したくなる。
「使える人は使ったらいいんじゃないかなと思いますよ、そういうバット。僕も興味ありますよ。でも、まだそんなに数を打ててないんで。慣れなきゃいけないので。そこもまた難しいところですね」
【なぜホームラン打者は減ったのか】
魚雷バットを最初に活用したヤンキースの打者が、どれだけ今季の本塁打数を増やすのかはともかく──。近年のメジャーリーグでは全体の本塁打数が増え、三振数も増えている。対して日本プロ野球では全体の本塁打数が激減するなか、三振も減少傾向にある。この違いを、ホームランバッターの中村はどう受け止めるのか。
「どうなんですかねえ......。単純に、ホームランが出にくいから、打者としては『ホームランは厳しいな』と感じて、当てにいく打ち方になっているのかな、という気はします。ピッチャーのレベルも高いですし、ホームランを狙うのはリスクもありますからね。日本だと、シーズンを通して多い人でも60本がマックスですから。そう考えると、自然とホームランを狙わないようなスイングになっていくのかなと」
中村自身、現役トップの本塁打数に、歴代トップの三振数を記録している。本塁打の副産物として三振があるという最高の典型例だが、そんな中村も、2005年に22本塁打でブレイクしたあと、06年は9本、07年は7本だった。以前、中村は野球雑誌(『野球小僧』2008年12月号)の取材で次のように語っている。
「自分ではいつもホームランを打ちたいんです。でも去年(2007年)なんかは、ヒットを打たないと試合に出られない気持ちが強くて、結果的にどっちつかずの状態になっていたんだと思います」
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