プロ野球で本塁打が減っている理由とは? 稀代のホームランアーチスト・中村剛也が明かす「投手の高速化と球質」 (2ページ目)
打者から見た"真っスラホップ"を中村が解説してくれた。右バッターにはやや逃げていき、左バッターには食い込んでくる球として有効という。
【打者は動きを再現することが難しい】
一方で"伸びシュー"と言われる球質もある。「ふけ球」とも言われ、シュートしながら伸び上がってくるから、右バッターにとって怖いボールである。この"伸びシュー"の代表的な投手は、西武の今井達也だ。
「その球も打ちづらいです。あんな厳しい球はないです。ホップするのは、現役時代の藤川球児さんとかいましたけど、そういうボールを投げるピッチャーも前より増えていますね。ただそれが日常というか、速い球がふつうになりつつありますし、もっと対戦経験が増えたら、もうちょっとバッターもなんとかなるのかなとは思いますね」
打者の経験値が上がれば、"打低"はいつまでも続かない。さらに、さまざまな測定機器を活用しての対策も考えられる。その点、投手に比べると打者は機器を活用しにくい面もあると言われるが、実情はどうなのだろう。
「機械を使って打球を計測したり、スイングを測定したり、データを利用している人はいますけど、ピッチャーと違ってバッターは道具を使っているので、動きを再現することが難しい。しかもピッチャーは自分のタイミングで投げられますけど、バッターは受け身で、ピッチャーのタイミングに合わせなきゃいけないし、いろんな球がくる。
そのあたりを考えると、バッターもデータを使えるかもしれないですけど、まだまだですね。僕自身、もう少し使いやすいヤツがあればいいと思うんですけど(笑)。とにかく、『ピッチャーよりは使えない』っていうふうに思っています」
投手は攻め手で、打者は受け身。やはり、機器で得られたデータを基にした対策はしづらいようだ。
「合わせなきゃいけないのと、バットを持っているっていうことですね。まだ手で打つなら、どういうボールでも当てられると思うんですけど、手で持った道具を使うので」
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