検索

大胸筋断裂、62打席無安打... 西武・西川愛也が苦難を乗り越えつかんだ「プロ8年目の開花」 (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

 大胸筋断裂の影響はプロ入り後も続いた。1年目はリハビリに多くを費やし、ファームでは指名打者で出場。3年目から選手登録を内野手から外野手に変更されたが、これが次の負傷を招いた。

「結局ここ(大胸筋)が怖くて、ここを使わずにほかで投げようっていうマインドになってしまって。そうしたらほかを痛めてしまうことが続いてしまって。で、思いきってここをしっかり使う投げ方にしようと。リハビリの時より、多少大胸筋も伸びるようになったし、筋肉もついてきたので、しっかりここを使った投げ方をしようとして、そこからだいぶ投げられるようになりましたね」

【失意の62打席連続無安打】

 送球の不安がすべて解消されたのは入団6年目、2023年になってからだった。

「投げる怖さがなくなったのは、高1以来ですね。まず、守備につくのが楽しくなってきました」

 以前は、ボールが飛んでくるなと思っていた。体に不安があって満足に投げられなければ、そう願ってしまうのは至極当然のことだろう。

 それが、守備につくのが楽しくなってきた。西川にとって、大きな転期だった。

 ちょうど同時期、打撃でも不名誉な記録を止めた。2020年9月26日の楽天戦から続く、62打席連続無安打のNPB野手ワースト記録だ。

 2023年4月30日の楽天戦で止めるまで、3年越しの試練を西川は「めっちゃしんどかったです」と振り返る。

 この頃に分岐点となったのが、開幕前、チームメイトの山川穂高(現・ソフトバンク)と自主トレを共にしたことだった。

「山川さんは準備をすごく大事にしています。打席に向かうまでのルーティンもしっかり教えてもらいました。フィジカル面でもトレーニングをすごくされる方なので、そこでもだいぶ強くなったというか。気持ち的にも、変わってきたというのがありました」

3 / 4

キーワード

このページのトップに戻る