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阪神・伊原陵人、中日・金丸夢斗、ヤクルト・荘司宏太 ルーキー左腕3人の「現在地と可能性」を阿波野秀幸が徹底解説! (4ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi

ヤクルトのドラフト3位ルーキー・荘司宏太 photo by Koike Yoshihiroヤクルトのドラフト3位ルーキー・荘司宏太 photo by Koike Yoshihiroこの記事に関連する写真を見る

【チェンジアップは秀逸】

── ドラフト3位の荘司投手は開幕から12試合連続無失点を記録しました。

阿波野 彼の魅力はストレートとチェンジアップのコンビネーションにあります。特にチェンジアップの抜け方が非常に優れており、体全体を使った躍動感が感じられます。ストレートのような腕の振りから、巧みにチェンジアップを投じています。

── チェンジアップ以外はどうですか?

阿波野 平均球速は140キロですが、もう少しスピードが上がればさらによくなると思います。この3人のなかでは、コントロール面ではやや粗さがありますが、普通にストライクを投げる能力は持っています。

── 荘司投手のフォームは、岡島秀樹さん(元巨人ほか)に似ていませんか?

阿波野 荘司のほうが、もう少し捕手を見て投げているのではないでしょうか(笑)。力投派なので疲労の蓄積は大きいですし、おもに2球種で勝負しているため、短いイニングのリリーフ登板が中心になるでしょう。ですが、打者に見極められた時にどう耐え抜くかが今後の課題です。投球回数は少ないものの、まだ被本塁打がないのは立派なことです。

── この左腕トリオが、今後新人王候補として注目を浴びそうですね。

阿波野 伊原は現在、防御率1.26で規定投球回に達すれば、タイトル争いに絡んできます。このままシーズンを通して防御率1点台を維持できれば、新人としてすごい成績です。あとは、それを追う金丸がどれだけ勝ち星を伸ばせるかですね。

── かつて阿波野さんと日本ハムの西崎幸広さん(日本ハム)は、ともに15勝をマークするなど、ハイレベルな新人王レースを繰り広げました。

阿波野 私も西崎投手も大学では春と秋のリーグ戦が主だったため、プロの暑い夏場の登板を乗り切るのは大変でした。投手出身の藤川球児監督は、そのあたりのコンディション面をよく理解してくれているので、(伊原にとっては)とても心強く感じています。


阿波野秀幸(あわの・ひでゆき)/1964年7月28日、神奈川県出身。桜丘高から亜細亜大学を経て、86年のドラフトで近鉄、巨人、大洋による競合の末、近鉄が交渉権を獲得し入団。入団1年目に、最多奪三振王(201個)、新人王のタイトルを獲得。88年、伝説となる「10.19」のダブルヘッダーに連投し悲劇を経験。89年、最多奪三振(183個)と最多勝利(19勝)のタイトルを獲得し、悲願のリーグ優勝を果たす。その後、95年に巨人、98年に横浜(現・DeNA)に移籍。98年は50試合に登板するなど日本一に貢献。2000年に現役を引退。現役引退後は巨人、横浜、中日のコーチを歴任。現在は解説者として活躍の傍ら、ジャイアンツアカデミーのコーチも務めている

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