阪神・伊原陵人、中日・金丸夢斗、ヤクルト・荘司宏太 ルーキー左腕3人の「現在地と可能性」を阿波野秀幸が徹底解説! (3ページ目)
── いまだ未勝利なのが不思議なぐらいです。
阿波野 昨春に腰を痛めた影響もあり、キャンプではかなり慎重に調整が進められ、開幕も二軍スタートとなりました。一軍での初登板は5月5日でした。勝ち星に関して言えば、今季の阪神と中日では、1試合平均得点がちょうど1点ほどの差があり、打線の援護が少ないなどの影響もあるのでしょう。ただ、広いバンテリンドームを本拠地とするチームに入団した以上、勝ち星を積み重ねていくためには、「1点の重み」をより強く意識しながら投げていくことが大切だと思います。
── 被本塁打は2本ですね。
阿波野 5月16日の巨人戦(東京ドーム)では、4回に増田陸に外角高めのストレートを左中間へ運ばれまた。6月5日のソフトバンク戦(みずほペイペイドーム)では、初回に野村勇に真ん中のストレートを左中間へ運ばれました。ふたりともいわゆる本格的なホームランバッターではないものの、一発のパンチ力は十分に秘めており、もう少し慎重さが必要でしたね。
── 増田選手は先制本塁打、野村選手は逆転本塁打でした。
阿波野 先述したように、5月に初めて一軍に途中合流し、まだプロの打者の傾向が十分につかめていないため、今は自分のなかのベストボールを投げている段階だと思います。今後は、"ランク分け"や"カテゴリー分け"を行ない、打者の特徴を見極めていくことが大切になってきます。
たとえば、回の先頭で出塁させてはいけない俊足の打者、不用意に投げると一発を浴びる長打力のある打者、比較的省エネで対処できる打者など、それぞれに応じた打ち取り方を追究していくことで、勝ち星も伸びていくはずです。スタミナを温存することも大事ですから。
── 相手打者や試合展開を読むことが必要になってくると?
阿波野 そうですね。今年のケースで言えば、伊原の場合は6回を投げ終えた時点で、1点ビハインドでもバックの援護が期待できるため続投となることが多いですが、金丸の場合は代打を送られる可能性があります。また、これまでは先発登板の間隔を10日から7日ほど空けてきましたが、今後は中6日での先発ローテーションを視野に入れていくことも必要になってくるでしょう。
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