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名審判・小林毅二が語る監督・長嶋茂雄の記憶 「選手の気持ちは大事ですから、簡単に引き下がるわけには...」 (4ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi

── 長嶋さんが監督になられてから、抗議を受けたことはあったのでしょうか。

小林 微妙な判定の時、長嶋監督から猛抗議されることもありました。しかし長嶋監督は「選手の気持ちは大事ですから、簡単に引き下がるわけにはいきません。小林さん、審判団を集めて一度協議してもらえませんか。でも、ルールブックにあるようにアンパイヤの裁定は最終のものですから従いますよ」と。とにかく"引き際"がきれいでした。じつにスマートでしたね。

── 審判員をリスペクトしていたのですね。

小林 うれしかったですね。もうひとつ、長嶋監督は審判員のことを甲高い声で「アンパイヤ」と叫びながら、「ピッチャー、誰々」「バッター、誰々」と選手交代を告げるのですが、私の時は「小林さ〜ん」って呼んでくれるんです。若手の審判員にとっては「なんで小林さんだけ名前で呼ばれるんですか」と、羨望と嫉妬があったみたいです(笑)。

── それはいつぐらいの話ですか?

小林 長嶋監督第1次政権が1975年から80年まで、第2次政権が93年から2001年まで。私は97年にセ・リーグ審判部副部長、2000年に審判部長になったのですが、第2次政権の間はずっと名前で呼ばれていた気がします。

── 長嶋監督は自軍の選手の名前もよく間違えたという"都市伝説"もありますから、そう考えるとすごいですね。

小林 覚えやすかったのですかね(笑)。審判員は立場上、監督や選手からサインをもらったり、写真を撮ったりすることはありません。ある時、長嶋監督から選手交代を告げられる時のツーショット写真を、新聞社のカメラマンからプレゼントされたことがあったんです。私の宝物になっています。

── 長嶋さんの訃報を聞いた時、どんな心境でしたか。

小林 やはり喪失感を抱いています。ほんとに神々しい方でした。長嶋監督と同じグラウンドでジャッジできたこと、ほんとに幸せでしたし、感謝しかありません。安らかにお眠りください。

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