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中畑清と篠塚和典が巨人・浅野翔吾の3軍降格に思う、成長のために必要な「厳しさ」 (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

【成長に必要な気づき】

篠塚 今はガツンと言える先輩がいないんでしょうね。時代が違うと言えばそれまでなんでしょうが。

中畑 言えないんだろうね。仮にそういう先輩がいたら、監督がここまでやる必要はないと思う。昔は先輩が後輩に厳しく言って諭したり、そういう環境があったね。

篠塚 僕らが若い頃は特にそうでした。プロ入りしてから3年間くらいは厳しかったです。プロ野球の世界に入ってからも、高校時代と変わらない厳しさがありました。

中畑 若手の練習態度が中途半端だったら、それを理由に集合をかけたりしたりね。

篠塚 先輩の顔色を見ながら練習をしたり、あと、僕らの時代にはいろいろな当番がありましたからね。誰かがその中でミスをすれば、連帯責任で全員が呼び出されていました。

――中畑さんは大学(駒澤大学)の野球部も経験されています。

中畑 大学でもそういう指導はありましたが、人間教育の一環だと思うんです。暴力ということではなく、成長するための試練というか、"痛み"を教えるというのは大事な部分じゃないかと思いますけどね。今は痛みを知らない人間が多すぎるんです。浅野を3軍に落としたのは、その方法のひとつかもしれません。

篠塚 本人がそれをどう感じるかですよね。

中畑 本人がどう感じて、どういう努力をして覚醒するか。それを見た首脳陣に「よし! またチャンスを与えよう」と思わせられるかどうか。そこが勝負だから。

 自分みたいなうるさい人間は、声だけでも存在感をアピールしていたよ。そうしていると、周りから「元気いいな。なんかやってくれるんじゃないか」と思われたりする。ひたむきな姿を見せれば、監督も使いたくなるだろうから。

 特にアピールをしなくても成功する、シノ(篠塚氏の愛称)みたいな人間もいるんだけどね(笑)。とにかくシノは結果を出していたから。自分は元気を売りにして、とにかくチャンスをたくさんもらおうとしていたよ。

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