【プロ野球】ソフトバンク和田毅が振り返るパ・リーグ強打者たちとの激闘の記憶 挙がった名前は? (3ページ目)
── いいお話ですね。
和田 ただ、また違った話になりますが、アメリカに行く前の僕(2012年〜2015年まで米球界でプレー)は、どうやればメジャーに行けるか、そればかりを考えていました。悪く言えば自分本位。チームメイトと食事に出かけることも3年目あたりからはしなくなりました。周りとの関係性を築くことよりも自分の体調管理が優先。すべて自分が一番でした。
── ベテランになってからの和田さんとは、まるで別人ですね。
和田 実際にアメリカに行って、そこで得た経験が大きいです。特に向こうですぐにケガ(2012年にトミー・ジョン手術)をしたこともあり、マイナーの時期も長かった。若い選手たちが一生懸命頑張る姿を直で見たり、裏方さんの大変さもすごく身に染みましたし......。その後はメジャーリーグも経験させてもらいましたが、メジャーの待遇のすごさを知ることで余計に自分がどれだけの周りの人たちのサポートや思いによって野球をやれているかよくわかりました。
また、異国で戦うこともそうです。通訳がいたとしても違った環境のなかで活躍するのは大変なこと。日本にやってくる外国人選手の気持ちも理解できるようになりました。本当にいろいろな勉強をさせてもらった4年間でした。僕が一番変わったとすれば、周りの人たちの気持ちを汲み取れるようにはなれたところかなと思います。
【引退後の心境と新たな挑戦】
── 引退会見でも多くの感謝を何度も口にしました。いま、野球選手ではなくなった人生を歩み始めましたが、寂しさなどはありませんか?
和田 いやー、まったくないです(笑)。だってやりきりましたから。朝起きて何も心配しなくていい。引退してしばらくはまったく運動もしなかったので、筋肉がどんどん減って、XLだったジャージのサイズがLになりました。こんなに簡単に落ちちゃうんだとびっくりしましたけど、ちょっとだけ走ってみたら下半身はまたパンプアップというかしっかり張りが出たんです。ずっと体を動かしてきた人は筋肉メモリーが体の中に残っているので回復も早いとか。3月15日の引退試合では、せめてホームベースに届くピッチングはお見せしないといけないので(笑)。
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