つば九郎が語っていた夢「いしかわくんの200しょうのはなたばをわたすこと」連載担当記者が振り返る取材の思い出 (2ページ目)
取材現場では、いつもこんなやり取りが繰り広げられた。あらかじめ読者からの「相談内容」を伝えておくと、彼は事前にスケッチブックにその回答を書いていてくれた。それを受けて、「それはどういうことですか?」「でも、こんなケースもあるんじゃないですか?」「それはつば九郎だから許されることだけど、普通の人はなかなかそうはできないですよ」などなど、僕が相づちを入れたり、反論したり、茶々を入れたりしながら「会話」は進んでいく。
もちろん、台本なんかない。すべてその場のアドリブだ。この「会話」を通じて、僕はつくづく実感していた。
(本当に頭の回転が速いなぁ......)
【つば九郎が語っていた夢】
スワローズからの公式発表によれば、つば九郎の今後については「しばらくの間休止となることをお知らせします」とある。今後、どのようになるのかはわからないけれど、あらためてスポルティーバの公式サイトにアクセスした。
そこには65回分の人生相談、そして1回分の番外編、全66本の記事が並んでいた。その一つひとつを読み返していくと、取材時の光景が鮮やかによみがえってくる。つば九郎の話し相手を務めていて、僕は「ある事実」に気がついた。
それは、「恋愛相談になると、途端に悩み始める」ということだ。仕事について、友人関係についての質問に対しては、スラスラと答えが出てくるし、「会話」のラリーも続くのに、こと恋愛相談になると、スケッチブックを手にしたまま、「ウーン」と首をひねる時間が長くなるのだ。その点を突っ込むと、「だって、あまり経験がないんだもん......」と頭を抱えている姿はかわいらしかった(笑)。
印象に残っている回答はたくさんある。例えば、「仕事でストレスを抱えている」という相談に対してつば九郎は言う。
すわろーずのおうえんをしよう! もっと すとれすをかんじるから(第10回)
この回答を聞いた時には、思わず吹き出してしまった。あるいは、「夢を持てない」というアラフォー男性の悩みを聞いた流れで、「つば九郎の夢は?」と尋ねた時のことも印象深い。この問いに対して、彼はこんなことを口にしている。
2 / 3