「給料もそんなに高くないのになんで続けるの?」 もうすぐ40歳、元ソフトバンク・藤岡好明がニカラグアで見つけた答え (3ページ目)
とりわけ大きかったのが、野球に対する姿勢を見直せたことだ。
「日本にいた時は、結果を気にしながらやっていたなって。年齢を重ねれば重ねるほど『結果が出ないとクビになる』と、ネガティブに捉えがちになっていたと、ニカラグアに来て思いました」
ニカラグアでは結果を残せなければ、1試合でクビになることも珍しくない。中南米各国と同じく、それは当然のことだ。
だが、周囲の選手はそうした恐怖にとらわれるのではなく、前向きにプレーしていた。
「みんなベストを尽くすというか、自分のできることにフォーカスしているので、ネガティブにならないんだなと。逆に日本ではシーズンの間にクビを切られることはないのに、なぜ僕らはそこまでプレッシャーを感じながら過ごしていたんだろうって思いました。
それと、自分の強みをわかっていないといけない。人に合わせるのではなく、『自分はこういう選手だ』と意思を示しながらやっていかないと、すぐに呑まれてしまう。周りに遠慮してしまったら、どんどん落ちていくような雰囲気があったので。そういうことを感じられたのは、今後の人生でもプラスになると思います」
【もう一回チャレンジしたい】
1カ月間、野球を心の底から楽しんだ。「Baseball is baseball」。日本にやって来た外国人がよく言う感覚を、藤岡もニカラグアで体感できた。現地の食事か水にあたり、体調を一度崩したのも「登竜門」と笑い飛ばせる思い出だ。当地の牛肉は美味しく、また食べたいと思っている。
もちろん、最初からすべてがうまくいったわけではない。いつものようにトレーニングをできる環境はなく、「日本なら......」と頭をよぎった瞬間もある。
「最初は少し思いましたけど、そう考えても仕方ないというか。ピッチャーがパフォーマンスを上げるために必要なこと、今の自分に必要なことを考えたら、じつはそんなに多くなかったなって言うか(笑)。いい意味で、捨てられることってあるんだなと」
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