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43歳、川崎宗則が語る野球人生の「終活」 「電池はもう少ししたら切れるんで」 (4ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

 由緒ある大会に日本代表として出場するからこそ、緊張感に包まれる。川﨑は続ける。

「僕も昨日はきっちり緊張していましたよ。すごくいい時間でした。生きていて、緊張しないなんてもったいない。部屋でゆっくりしていたら、緊張することもないじゃないですか」

【43歳の今も現役を続ける理由】

 カリビアンシリーズでの川﨑は、初戦のドミニカ戦、3戦目のメキシコ戦にサードで先発出場。18歳でプロ入りした彼も、今や43歳。それでも現役を続ける理由に、年齢は関係ないのだろうか?

「関係ありますよ。(2戦目を控えた)今、体が痛いですし。昨日試合をして、今日は朝も起きられませんでした。何とか起き上がって、熱いシャワーを10分間肩に当てたりしていましたね。もうそろそろ限界かな......と思っています」

 メキシコには専属トレーナーを帯同し、コンディションを整える。今もグラウンドに立ち続ける裏には、当然ながら努力がある。

「電池はもう少ししたら切れるんで、止まったらちゃんとやめます。もう最後かもしれないですね。でもそう言いながら、気づけば10年経ってますよ(笑)」

 10年前、メジャーリーガーだった頃のような勝負強さは健在だ。

 2戦目のプエルトリコ戦では、1対3で迎えた8回二死三塁の場面。代打で登場すると、初球をセンター前に弾き返した。

 負ければ2連敗となり、決勝トーナメント進出が厳しくなる状況。そんな場面で、やはりベテランらしい一打を放った。試合には惜しくも敗れたが、彼のプレーはチームに勇気を与え、メキシコのファンも「Japon(日本)!」と大声援を送った。

 川﨑は、スタメンを外れた試合でも若手を励まし、イニング間には外野手のキャッチボールの相手も務める。彼は常に前向きに野球と向き合っているのだ。

「40代中盤に差しかかった中年ですけど、野球を楽しんでいます。あとは人生の一部だと思っているので。それをどこまで自分のなかで突き詰められるか、どれだけ楽しめるか。野球だからこそできることなんですよね」

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