『ダイヤのA』人気で中国は空前の甲子園ブーム 野球人口急増で「中国版・大谷翔平」が出現する日も近い⁉︎
2026年に第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を控え、2025年2月、3月には台湾とアメリカで予選が開催される。2大会連続出場を目指し、いち早く強化を進めるのが中国代表だ。
「あのホームランをきっかけに、中国の野球に興味を持ってくれた方もいます。あの効果はすごく大きいなって実感していますね」
中国代表の主軸打者・梁培(リャン・ペイ)がそう振り返ったのは、2023年ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本戦で、6回に戸郷翔征(巨人)から東京ドームのレフトスタンドに運んだ本塁打のことだ。
2023年のWBCで戸郷翔征から本塁打を放った梁培 photo by Nakajima Daisukeこの記事に関連する写真を見る
【日本野球の影響を受ける棒球】
あれから1年半以上が経った2024年冬、中国野球協会は沖縄で11月中旬から行なわれたジャパンウインターリーグ(JWL)にU23を中心とした26選手を派遣し、単一チーム「Team China Rising Star」(以下、中国選抜と表記)として参戦した。
WBC予選を見据えてメンバー選考と強化を目的とし、1カ月に渡るリーグ戦でNPBや台湾リーグの若手選手、トヨタやホンダという社会人トップチームの選手、さらにアメリカや欧州から契約を求めて来日した外国人選手たちと20試合近くの実戦を重ねた。
個人参加して経験を積む場という色合いの強いJWLで、中国選抜が掲げた目標は「全勝」。走者が塁に出れば犠牲バントで送り、足も絡めていく。なかには走り打ちやドラッグバントで俊足を生かそうという打者もいた。
緻密な作戦がはまれば、ベンチ全体で沸き立つ。日本人以上に細かい野球を徹底し、勝利に対する強い意欲は参加した全6チームのなかで際立っていた。
「中国の野球は『棒球』(バンチョー)と言います」
JWLで主に4番を務めた梁は、中国野球が日本に影響を受けた背景について話した。
「中国野球リーグの各チームは、2000年代にNPBと提携していました。今の代表監督は天津ライオンズのコーチで、ベイスターズと交流があっていろんな野球を学んだそうです。だからバントやエンドランなど、戦術も使えます。そういうところは日本の名残が残っているのかな。すごく参考にしていると思います」
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著者プロフィール
中島大輔 (なかじま・だいすけ)
2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。