【プレミア12】チャイニーズ・タイペイに見る勝利への執念 井端ジャパンは課題を胸に決勝へ (3ページ目)
チャイニーズ・タイペイ打線には1番から大柄な打者が並び、強いスイングを仕掛けてきた。「得点のシーンでは、一気にガンガン来るような勢いを感じました」と古賀は振り返る。上記の3つの要素が重なり、スーパーラウンド最終戦では相手を勢いづかせる形になってしまった。
だが、1失点に封じ込めたオープニングラウンドだけで終わらず、スーパーラウンドで再び肌を合わせたことで得られたデータや印象もある。古賀が続ける。
「2ストライク後のアプローチでも、簡単に三振しないなという感じもありました。低めの球はなかなか振らない場面もありましたし。バッターカウントの時にしっかり振ってくるなっていう感じと、甘い球はしっかり長打にしているなっていう印象です」
スーパーラウンド2戦目のベネズエラ打線もしぶとく、甘い球は長打にしてきたが、この日のチャイニーズ・タイペイも同様だった。そのなかで早川や清水、北山が打ちとった場面を振り返ると、低めの変化球をうまく振らせていた。ウイニングショットを生かす配球をできれば、相手打線を封じ込めるはずだと古賀も感じた。
「相手も各リーグのトップ選手が集まっているので頭に入っていると思うんですけど、そこをどう振らせにいくかだと思います」
低めの変化球を振らせるために、どうカウントを整えていくのか。それができれば、高めのストレートも生きてくる。
侍ジャパンにとって連覇のかかるプレミア12決勝で先発する戸郷翔征(巨人)は、まさにそうしたピッチングが持ち味だ。
大会初優勝を目指して意気込むチャイニーズタイペイに対し、決勝を逆算して調整してきた戸郷がどう封じるのか。侍ジャパン打線は4試合連続2ケタ安打と好調を維持するだけに、最大の武器である投手力が連覇へのポイントになる。
著者プロフィール
中島大輔 (なかじま・だいすけ)
2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。
フォトギャラリーを見る
3 / 3