【プレミア12】早川隆久は発想を変えてキャリアハイ 分析能力を武器に外国人打者とどう対峙する? (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

 4日後の11月4日、合宿で2度目のブルペンに入ると、今度は感覚的に語った。

「今日はトラックマンで測ってないので数値は見られてないんですけど、なるべくスイーパー気味にスライダーを曲げていたので横の曲がりが大きくなった分、それが影響してカーブも横成分が大きくなってしまいました。本番までにそこの区別化というか、調整できればと思います」

 変化球の縦成分と横成分はトレードオフのような関係にあるのかもしれないが、それでも両立しないといけないのだろうか。

「そうですね。自分のなかでは、そこは区別化したいところです。ゲームになって、カーブをちょっと横に大きく曲げたりするときもありますけど、ブルペンではなるべく分けるように」

 では、ほかの球種はどのように対応したのか。

「カットボールは逆に大きく曲げるのもありだと思います。そういうところではうまく対応できています。でも球速差はなかなかつきにくくなってしまうので、スライダーっていうボールは欠かせないことになりますけど。そういうところも含めてやっていければと思います」

 現状と本番までの改善点を、早川はじつに的確に第三者にもわかりやすく説明した。

【投球の幅を広げるためのスライダー】

 早川はボールの特徴やその日の調子に合わせ、カーブやカットボールの変化の仕方を変えているという。おそらく、自分の投げているボールの回転軸が頭のなかで明確になっているからできるのだろう。

 翌日の11月5日、北山と話し終わりロッカールームに引き上げる早川に確認した。

「トラックマンほど精密ではないですけど、頭のなかでどう投げたらどういう軌道で曲がってくれるかをたしかめながら投げて、その後トラックマンで確認して、『あっ、これなんだ』というのを今シーズンずっとやっていました。ある程度(頭のなかで)軸をつくりながらできたっていうところです」

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