【プレミア12】早川隆久は発想を変えてキャリアハイ 分析能力を武器に外国人打者とどう対峙する? (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

 今季の早川の飛躍を語るうえで、カギになるのがスライダーだ。もともと持っていた球種だが、昨年は投げていなかったという。今季、再び投げ始めたのはなぜだろうか。

「投球の幅を広げたかったのがメインです。(カットボールとは)曲がり幅もそうですし、球速帯も全然違うので。そこが一番のポイントで。130キロ中盤のボールは投げられるけど、130キロ前半のボールが少なかった。そういうボールが欲しいなと思って、たどり着いたのがスライダーでした」

 ひと言で「スライダー」と言っても、変化の仕方は千差万別だ。横に変化するスイーパーや、縦に落ちる縦スライダー、カーブとスライダーの中間であるスラーブもある。

 そして早川は、今年「スライダー」の発想を変えた。

「去年までトライしていたのは、縦のスライダーでした。縦成分も強かったけど、そこは決め球としてほしかったからです。それが今年からカウントを取るスイパー気味のスライダーにしたところが一番ポイントです。横曲がりというところでバッターの目線も変えられますし、そこから縦で落とすこともできたので、結果として縦スラも習得できたっていう感覚ではあります。自分のなかでは、投球の幅を広げるためのスライダーのひとつということです」

 今季の早川の球種別投球割合は、以下のとおりだ。

<ストレート:42%、スライダー:9%、カーブ:12%、フォーク:8%、カットボール:16%、チェンジアップ:13%>

 割合で見ればスライダーは9%だが、投球全体にどんな影響があったのか。

「カーブとカットボールしかなかったときに比べて、大きく変わったと思います。カーブは若干縦気味で、自分のなかではパワーカーブ系。ただ、この球だけを絞られると厳しい。カットは130キロ台中盤で曲がりが小さいから、バッターからすれば真っすぐを張りながらでも対応できます。そういうところで130キロ台中盤で変化の大きなスライダーがあると、打者は的を絞りづらくなる。球種がひとつ増えたことで、投球の幅が広がりました」

 カーブとカットボールという持ち球にスライダーを加えることで、カーブとカットボールもより生きるようになった。

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