広島カープ「9月の大失速」はなぜ起きた? 苦渋のシーズンから見えた課題と来季への覚悟 (3ページ目)
8月まで首位に立ち、9月戦線で他球団が主戦を当ててきたことも影響したかもしれないが、得点力はさらに低下しセ・リーグワースト。9月以降、1試合平均得点が下がったのは広島だけだった。
投打ともに精彩を欠き、勝負どころと定めた9月は5勝20敗という歴史的な大失速を招いた。最終的に68勝70敗5分の4位。「8月までは強かった」のではなく、9月以降に見せた姿が、今の広島の力だったということだろう。
「昨年の反省を踏まえて、『よし、9月行くぞ』と思っていたんだけど、自分の見積もりが甘かった。選手はみんな『よし、行こう』と思ってくれたんだけど、それで力を出せなかった。実際にこういう結果になったということは、監督である自分のミス」
シーズン終了後、新井監督はそう振り返った。
ただ変わるのではなく、大きく変わることが求められている。就任3年目の来季、その目に見ているのは大きく拓けた平坦な道ではなく、いばらの道に違いない。それでも力強く進んでいく。新井監督の表情、言葉からも強い覚悟が感じられる。
著者プロフィール
前原 淳 (まえはら・じゅん)
1980年7月20日、福岡県生まれ。東福岡高から九州産業大卒業後、都内の編集プロダクションへて、07年広島県のスポーツ雑誌社に入社。広島東洋カープを中心に取材活動を行い、14年からフリーとなる。15年シーズンから日刊スポーツ・広島担当として広島東洋カープを取材。球団25年ぶり優勝から3連覇、黒田博樹の日米通算200勝や新井貴浩の2000安打を現場で取材した。雑誌社を含め、広島取材歴17年目も、常に新たな視点を心がけて足を使って情報を集める。トップアスリートが魅せる技や一瞬のひらめき、心の機微に迫り、グラウンドのリアルを追い求める
フォトギャラリーを見る
3 / 3