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広島カープ「9月の大失速」はなぜ起きた? 苦渋のシーズンから見えた課題と来季への覚悟 (2ページ目)

  • 前原淳●文 text by Maehara Jun

 また、勝負どころのシーズン終盤に主力の離脱が相次いだ昨季の反省から、シーズン序盤から主力野手には休みを与えてきた。

 投手は先発4本柱であっても、前半戦から中7日以上の間隔を空けるなど配慮してきた。8月の9連戦は、先発8投手を起用する大胆なローテーションで勝ち越した。中継ぎもワンポイント登板の投手を除き、3連投はさせなかった。

 すべて9月戦線にラストスパートをかけるための備えだったが、空転した。

【5勝20敗と歴史的大失速】

 他球団にはない蓄積疲労もあったかもしれない。後半戦初戦の7月26日のヤクルト戦(神宮)から9月8日中日戦(マツダスタジアム)までの45日間、丸一日休みの日がなかった。試合のない日は移動日続きで、試合か移動かの日々。8月30日には台風接近のため、早朝からバスと新幹線で広島に戻ってきた。

 こうした蓄積疲労に加え、シーズン序盤から僅差での登板が続いた投手陣が疲弊したのか、9月に入り一気に崩れた。それまでとは違い、試合中盤でも劣勢であれば先発に代打という早期の継投策は、先発陣の焦りに拍車をかけ、中継ぎ陣の負担増につながった。

 それは数字にも顕著に表れた。セ・リーグ6球団の8月までと9月以降の防御率を見れば、一目瞭然である。

巨人/2.59→2.00
阪神/2.50→2.50
DeNA/3.08→3.07
広島/2.25→4.11
ヤクルト/3.75→3.15
中日/2.83→3.84

 8月までリーグトップの防御率を誇っていたが、9月以降はリーグワーストに悪化。カープ打線の慢性的な得点力不足をカバーしてきたが、シーズン最終盤にこらえられなくなった。

 一方で打線は、最後まで投手陣をカバーできなかった。各チームの8月までと9月以降の1試合平均得点を比較してみた。

巨人/3.1→4.0
阪神/3.3→4.1
DeNA/3.6→3.8
広島/3.0→2.5
ヤクルト/3.6→3.8
中日/2.6→2.7

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