【日本シリーズ2024】「3番・今宮健太」に見るソフトバンク小久保監督の危機管理能力と勝負勘 (2ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro

 今宮を3番に抜擢した理由とは。

 小久保監督の説明はこうだった。

「やっぱり山川(穂高)のあとを栗原(陵矢)にしようということで、3番・今宮。ノーアウト一、二塁でも十分送れる。そういう意味も込めて。それに状態がよかったんでね」

 クライマックスシリーズの今宮は、これもレギュラーシーズンでは二度しかないレアな6番で起用された。ただ、これが大当たり。10打数5安打と好調で賞金100万円をゲットしていた。

 さらに小久保監督は、こうに続けた。

「山川の状態もずっとよくて、4番、5番を得点源と考えたら、ワンアウト一塁から何とかあと1点ほしい時には(バントなどで)送ることもできるし、あとは並び的にいつもどおり『周東・今宮』なんで。1、2番だったのが、2、3番になっただけ」

【常に最低最悪を想定している】

 ソフトバンクでは打順を決めるのは、打撃コーチの役目だ。小久保監督は「その提案が面白いと思った」という。では、次の証言者は村上隆行打撃コーチである。

「近藤(健介)が出られないとなったので、5番がいない。5番には(背番号)24(栗原陵矢)を入れなきゃいけないというのが出てきたんで、次に誰を3番に入れるかとなった時に、(今宮)健太しかいないとなった。CSのように6番も考えたんですけど、じゃあ3番に誰を入れるんだと。柳田(悠岐)は3番ではない。やっぱり1番に置きたかった。甲斐(拓也)から始まって、ピッチャーで送った時にチャンスが上(の打順)に来ると思った。また、1番(柳田)が出れば2番(周東)にゲッツーはない。そこで『つなぐ3番』でいいんじゃないかなと」

 最後に今宮本人の声だ。

 3番スタメンを告げられたのは試合当日だった。「びっくりはした」と思わず苦笑い。

「でも、CSの6番と違って、自分の前に(周東)佑京がいた。あまりシーズンと変わらないと思ったし、うしろの4番、5番を考えれば、別に"そういう3番"じゃないんで」

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