西武・岡田雅利は生涯一捕手で現役引退 「生まれ変わってもやりたい」キャッチャーの面白さを語る (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

 コンビを組んだ今井はどう感じたのだろうか。

「組むキャッチャーで配球や、組み立て方は全然違います。そういう意味ではどんな配球や投球パターンでも試合をつくっていけるピッチャーがいいと思います。ワンパターンにならずというか、いろんなキャッチャーの方とバッテリーを組むことで自分の配球の引き出しが増えたり、自分はもっとこういうピッチングができるんだと、自分が気づかないところに気づかせてくれたこともありました。そういう部分はすごくありがたかったです」

 プロでも際立つポテンシャルを誇りながら、なかなか自身をうまくコントロールできずにいた今井をどう引っ張るか。岡田は二軍戦の映像を確認し、特徴や傾向を把握して少しでもいい方向に導こうとした。

「1、2回はちゃんと丁寧に投げているけど、3、4回になったら適当になることがありました。僕は結構ピッチャーに怒るほうですけど、フォアボールを出したあとにマウンドに行って『おまえさあ......』みたいに指摘したら、今井は不貞腐れていました(苦笑)。でも、ピンチになったらすごくいいボールを放るんです。そうやって言えるためにも、データや映像を見ておくことは大事だと思います」

 キャッチャーというポジションで、どうすれば居場所をつくれるか。岡田はムードメーカーとして声を張り上げることに加え、捕手として今井や他投手のよさを引き出し、チームの優勝に欠かせない戦力となった。

「去年より試合数は減ったけど、自分のなかではすごくいい1年でした。正直、自分の姿を出せたので。森と銀さんと違うところを出さないとダメだと、この1年間で一番わかりました」

 リーグ制覇を果たした2018年オフ、岡田は右肘関節鏡視下関節形成術を受け、2019、2022、2023年と左膝に3度メスを入れた。一方、炭谷が2019年オフ、森が2021年オフにフリーエージェント権を行使して移籍したが、岡田が出場機会を増やすことはなかった。

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