【ドラフト2024】西武は貧打戦解消へ強打者指名を アマ球界屈指スラッガー、28歳社会人も狙いたい
チーム事情から見るドラフト戦略2024〜西武編
プロ野球の一大イベント、ドラフト会議が10月24日に開催される。各球団すでに指名選手をリストアップし、最終段階に入っていると思うが、チームの現状と将来を鑑み、今回のドラフトで本当に獲得すべき選手は誰なのか? 今季5月に松井稼頭央監督が休養するなど、シーズン序盤から失速した西武。なかでも得点力不足は深刻で、今回のドラフトでの補強ポイントは明確だ。
9月25日現在(以下同)、137試合を消化して46勝89敗2分(勝率.341)と、記録的な惨敗に終わった今シーズンの西武。ペナントレースのおよそ3分の2負けている勘定になるが、だからといってすべてダメかと言うと、じつはそうではない。
失点数474は3位のロッテよりも少ないし、チーム防御率3.10もリーグ4位。投手陣に関しては、十分に戦っていけるだけの手応えを感じたはずだ。
人材的にも、9勝を挙げてチームトップの防御率2.29をマークしているルーキーの武内夏暉、同じく9勝の隅田知一郎、さらに脇腹の故障から立ち直り、中継ぎの一角を全うした佐藤隼輔の3人のサウスポーは、いずれも入団3年目までの「若獅子」たちだ。
さらにファームにも、青山美夏人(2年目)、羽田慎之介(3年目)、菅井信也(3年目)が一軍定着を狙って台頭しつつあり、今季絶不調(0勝11敗)だった高橋光成、メジャー挑戦を目指す平良海馬などの頭の痛い問題はあるにせよ、打線に比べれば未来は明るい。
青山学院大のスラッガー・西川史礁 photo by Ohtomo Yoshiyukiこの記事に関連する写真を見る
【上位3人は強打者を指名すべき】
で、問題の「打線」である。
俯瞰してみると、チーム打率.211はダントツの12球団ワーストであり、得点は優勝したソフトバンクよりも248点も少ない。1試合平均2.42得点ということは、3点取られたら厳しい......ということである。
「打線にテコ入れ!」と叫んでみたところで、アマチュア球界に来季すぐにクリーンアップを任せられるようなスラッガーなどそういるわけではなく、ここはトレード、外国人による補強を合わせた「3本の柱」で考えるのが現実的である。
現在の「超」のつく投高打低を考えると、立て直しには最低3年を要するだろう。ここは焦らず、じっくり腰を据えて取り組むべきだ。
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プロフィール
安倍昌彦 (あべ・まさひこ)
1955年、宮城県生まれ。早稲田大学高等学院野球部から、早稲田大学でも野球部に所属。雑誌『野球小僧』で「流しのブルペンキャッチャー」としてドラフト候補投手のボールを受ける活動を始める。著書に『スカウト』(日刊スポーツ出版社)『流しのブルペンキャッチャーの旅』(白夜書房)『若者が育つということ 監督と大学野球』(日刊スポーツ出版社)など。