【ドラフト2024】西武は貧打戦解消へ強打者指名を アマ球界屈指スラッガー、28歳社会人も狙いたい (3ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko

 懐が深く、145キロ前後の速球にも変化球にもドンピシャでタイミングを合わせることができて、レフト方向にも強烈な打球を放つ。

 社会人の選手が25歳を過ぎると、「もうプロには遅い」と決めつけられていたのは、過去の話である。今はトレーニングも進化し、25歳を過ぎても選手たちの体もプレーもまだまだ若い。プロ野球の世界でも、30代後半のバリバリの選手が各チームに何人もいて、活躍している。

 じつは、社会人の20代後半の選手はドラフトの"盲点"である。

 オリックスの阿部翔太(28歳で指名)、巨人の船迫大雅(26歳で指名)、森田駿哉(27歳で指名)と、近年、好例はいくつもある。

 25歳以上の選手を下位で指名して貴重な戦力にしてきたのは、オリックスの"お家芸"だったが、西武が踏襲しても構わない。来季、アッと驚く活躍が見られるかもしれない。

【将来性豊な高校生投手を下位で】

 野手中心のドラフトになるとは言っても、投手だって将来に向けてしっかり補強しておきたい。昨年6位で指名した村田怜音(れおん/内野手)に続いて、今年も「レオ」がいる。

 柴田獅子(れお/福岡大大濠/投手/186センチ・85キロ/右投左打)はすでに上位で指名されている可能性が高いから、山口廉王(れお/仙台育英/投手/193センチ・95キロ/右投右打)を4位か5位で。右ヒジの手術を乗り越え、この春に覚醒の兆しを見せた超大型右腕。角度抜群の145キロ台前後のストレートと高速フォークが武器だ。

 そしてもうひとり、この夏の甲子園に出場した有馬恵叶(けいと/聖カタリナ/投手/190センチ・78キロ/右投右打)の青天井の可能性も興味深い。これだけの身長があってもボディバランスは抜群で、長い腕をムチのようにしならせて投げ込むストレートは威力十分。

 パワーピッチャーの山口の将来像には「高橋光成」が重なり、スリムでしなやかな投球フォームの有馬は、新監督との噂がある西口文也がピタリとはまる。

著者プロフィール

  • 安倍昌彦

    安倍昌彦 (あべ・まさひこ)

    1955年、宮城県生まれ。早稲田大学高等学院野球部から、早稲田大学でも野球部に所属。雑誌『野球小僧』で「流しのブルペンキャッチャー」としてドラフト候補投手のボールを受ける活動を始める。著書に『スカウト』(日刊スポーツ出版社)『流しのブルペンキャッチャーの旅』(白夜書房)『若者が育つということ 監督と大学野球』(日刊スポーツ出版社)など。

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