ベイスターズ小園健太が「退寮する日が怖い」と語るファーム施設「DOCK」の魅力 (3ページ目)
インプットをしても、いかにしてそれをアウトプットしていけばいいのか。データばかり詰め込んでも、体がついていかなければ意味はない。
「データにとらわれすぎると縮こまってしまうこともあるので、データは意識しつつも、一番は自分の感覚を大事にしながらキャッチボールとかをするようにしていますね。本当いい環境で野球をやらせてもらっているので、何とか期待に応えたい」
そんなDOCKでの生活で息抜きになっているのが食事とサウナだという。
「食事は栄養バランスもいいし、本当においしくいただいています。いずれ退寮する日が来ると思うと怖いですね(笑)。サウナは"サウナー"というほどではないんですが、好きなんです。ぼーっとできる感覚が何か好きなんですよね。リラックスできます」
英気を養いながら、プロ初勝利を目指している小園だが、ペナントレースも残り20試合を切った。シビアな試合をしている一軍で今季2度目のチャンスをつかむのは容易ではないが、小園は顔を上げて言った。
「たしかに投げるチャンスは少ないとは思いますが、そうであったとしても自分はアピールするだけです。(一軍に)呼ばれるにふさわしいピッチングをして、いつ声がかかっても行ける準備をしたいと思います。本当に、一試合一試合が大事になってくると思います」
状態は上向きだと感じていた9月8日のロッテ戦では、先発として6イニングを投げ3失点とQS(クオリティ・スタート)を達成している。7四死球と若干制球は乱れたが、被安打は4と結果を出した。
精神面において入来コーチから常々言われていることは、「淡々と投げろ」ということ。
「僕は相手に合わせてしまうところがあるので、しっかりと強い心をもって、これからも挑んでいきたいと思います」
真剣なまなざしで小園は言った。勝負の秋、心技体を充実させ今季中の昇格はもちろん、来季へとつながるピッチングは果たしてできるのか。小園のさらなる奮起に期待したい。
小園健太(こぞの・けんた)/2003年4月9日、大阪府生まれ。市和歌山高から2021年ドラフト1位で横浜DeNAベイスターズから指名を受け入団。背番号はかつて三浦大輔監督がつけていた「18」を託された。1年目は体力強化に励み、2年目は一軍デビューこそなかったが、ファームで17試合に登板。最速152キロのストレートにカーブ、スライダー、カットボール、チェンジアップなどの変化球も多彩で、高校時代から投球術を高く評価されている。
著者プロフィール
石塚 隆 (いしづか・たかし)
1972年、神奈川県出身。フリーランスライター。プロ野球などのスポーツを中心に、社会モノやサブカルチャーなど多ジャンルにわたり執筆。web Sportiva/週刊プレイボーイ/週刊ベースボール/集英社オンライン/文春野球/AERA dot./REAL SPORTS/etc...。現在Number Webにて横浜DeNAベイスターズコラム『ハマ街ダイアリー』連載中。趣味はサーフィン&トレイルランニング。鎌倉市在住
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