今中慎二が振り返るイチロー、落合博満との対戦秘話 プロ野球史に残る天才打者たちは何が違った? (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

――イチローさんはギリギリまで引きつけてスイングするため、「バットがいきなり出てくるように見える」と話す投手もいますね。

今中 まさにそんな感じでしたね。あのセンターフライもそんな感じでした。「ボールを避けるのかな?」と思ったら、いきなりバットが出てきたんです。それもセンターまで飛ばしている。振り出しが遅いのでファウルになるならわかるのですが、センターに、しかもあそこまで飛ぶんだ、と思いました。とにかくスイングスピードが速くて、当てるのがうまかった印象ですね。

――オールスターでの対戦でしたが、「真剣勝負の場面でも対戦したい」と思いましたか?

今中 当時は交流戦がなかったですし、そこまでは考えませんでしたけど、同じリーグで対戦する機会が頻繁にあったら大変なことですよね。当時のセ・リーグには打率.380打つような打者はいなかったので(イチロー氏は1994年に.385、2000年に.387をマーク)。たまに対戦する分にはいいんでしょうけど。

――オールスターでイチローさんと話をする機会はありましたか?

今中 1995年はなかったですが、その前の年にナゴヤ球場で行なわれたオールスターではサインを求められましたよ。イチローは初めてのオールスターだったんですが、「この(中日の)帽子に憧れていました」と言いながら、テレビのインタビューを受けていた僕のところに来たんです。イチローにとって(中日の本拠地の)愛知県は地元ですからね。

 まぁ、テレビ向けのイチローのファンサービスだったんじゃないですか(笑)。その後は普通に話したような記憶があります。オールスターや、夜に食事に行った時にたまたま会ったことはありますが、じっくり話すことはあまりなかったですね。今は侍ジャパンでチームメイトになったり、交流戦があったり、自主トレを一緒にやったりしますが、当時はそういう接点がなかったですから。

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