中畑清のアテネ五輪監督代行を聞いた篠塚和典は「プレッシャーで体を壊してしまうんじゃないか」と心配になった (3ページ目)
――篠塚さんも2009年の第2回WBCでは打撃コーチを務め、日の丸を背負うプレッシャーを肌で感じたと思います。
篠塚 WBCのプレッシャーはすごかったです。ただ、五輪とWBCは違う。確かにWBCも日本代表ではありますが、まだ参加国が少ないこともありますし、「野球の世界だけでやっている」という感じがするんです。それに対して五輪は、国を挙げての規模のように思いますし。ただ、第2回のWBCで優勝できた時は、ファンの方々もそうですが、「ミスターや中畑さんのためにも世界一を獲れた」という思いもありました。
――あらためて、同期入団から長く時間を共にしてきた中畑さんは、篠塚さんにとってどんな存在ですか?
篠塚 共にレギュラーになってからはもちろん、その前のファームでの下積み時代も長い時間を一緒に過ごしましたし、思い入れのある先輩です。自分と性格が全然違うので、無いものねだりではないですが、「自分も一度は中畑さんみたいな性格になってみたいな」「ああいう性格だったら、どういう選手になっていたのかな」と想像したりする時もありました(笑)
それと、中畑さんと首位打者を争ったシーズンもあったように、同じチームにタイトルを争う選手がいることは刺激になりました。そういう意味ではよき先輩であり、よきライバル、そして苦楽を共にしたよきチームメイトでしたね。
(連載6:"青い稲妻"松本匡史との決まりごと 長嶋茂雄監督の強い意向に「大変そうだった」>>)
【プロフィール】
篠塚和典(しのづか・かずのり)
1957年7月16日、東京都豊島区生まれ、千葉県銚子市育ち。1975年のドラフト1位で巨人に入団し、3番などさまざまな打順で活躍。1984年、87年に首位打者を獲得するなど、主力選手としてチームの6度のリーグ優勝、3度の日本一に貢献した。1994年に現役を引退して以降は、巨人で1995年~2003年、2006年~2010年と一軍打撃コーチ、一軍守備・走塁コーチ、総合コーチを歴任。2009年WBCでは打撃コーチとして、日本代表の2連覇に貢献した。
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著者プロフィール
浜田哲男 (はまだ・てつお)
千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。
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