山川穂高問題、コンプライアンス、株主総会...西武だからこそ起きた「監督休養問題」に経験者・伊原春樹の見解は? (2ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi

【GMの監督代行就任に疑問】

── 2018年にパ・リーグを制した「山賊打線」ですが、浅村栄斗(楽天)、秋山翔吾(広島)、森友哉(オリックス)、そして山川(ソフトバンク)が次々に移籍し、解体されました。

伊原 今年の西武は高橋光成、今井達也、平良海馬、松本航、隅田知一郎、武内夏暉ら、リーグ屈指の投手陣を誇ります。その一方で打線は、セ・パ交流戦前までチーム打率.214、118得点はいずれもリーグワースト。1試合平均2.62得点では、いくら投手陣が盤石とはいえ厳しい。シーズン前、私は「外国人の打者次第で優勝争いができる」と予想したのですが、現実として2点以内に抑えないと勝てないわけです。源田壮亮や外崎修汰が奮闘していますが、長打を打てる主砲がいないと厳しい。

── 松井監督のあと、渡辺久信GMが監督代行になりました。

伊原 先述したように、与えられた戦力で戦うのが監督であって、チームづくり、選手を獲得する編成は渡辺GMの仕事です。少なくとも監督と一心同体であるGMにも半分責任があるわけです。監督だけに責任を取らせるのではなく、GMや編成部長も同様に責任を取るべきです。GMが監督代行を務めるというのは、おかしいのではないでしょうか。

── 指揮官交代によってチームは上昇しそうですか。

伊原 外国人打者の調子が上がらないのだから、難しいと思いますよ。もしかして、GMが監督代行を務めることで責任を取る、取らせるということでしょうかね。

── 松井監督は二軍監督として帝王学を学び、満を持して一軍監督に就任しました。生え抜き監督であるにもかかわらず、2年目の5月に途中休養というのは早すぎるのではないですか。中日の立浪和義監督や日本ハムの新庄剛志監督は、2年連続最下位でしたが3年目の今季も指揮を執っています。

伊原 立浪監督や新庄監督は3年契約ですが、松井監督は2年契約だったようですね。そしてもうひとつ大きいのが、株主総会です。西武ホールディングスの株主総会は6月にあるのですが、株主には野球好きやライオンズファンがたくさんいます。「球団はどうなっているんだ」と聞かれる前に、先に手を打った。「監督を休養させて、今後さらに頑張っていきます」と。それも松井監督休養の大きな要因だと思います。

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