DeNA小園健太が振り返るほろ苦一軍デビュー 「登板前日は眠れなかった」親友からは辛口エール (3ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi

 ピッチャーのマインドは繊細だ。状況の変化によっては簡単にリズムを失ってしまうこともある。ましてや経験に乏しい小園は、修正をする術を持ち合わせていなかった。

 その後、二死一塁でプレーは再開されるが、小園は中田翔に四球を与え、つづく細川成也にレフト前にヒットを打たれ失点を喫してしまう。

 一度狂った歯車は戻らない。2回は先頭の木下拓哉にセンター前ヒットを打たれると、つづく村松開人のセーフティーバントを小園が捕球するも、丁寧に行き過ぎて送球が間に合わない。さらに、投手の松葉貴大の送りバントは三塁線ギリギリに転がり見送るもフェアゾーンに止まり、無死満塁となってしまう。

 その後、三好を三振に仕留め1アウトを奪うが、つづく田中の内野ゴロの間に1失点、さらに高橋の打球をファーストのオースティンがダイビングキャッチを試みるがミットを弾きまた失点。

 そして3回に松葉にタイムリーを打たれたところで、小園はマウンドを降りた。76球を投げて7安打、3四球、5失点。2回以降は、ストレートのアベレージも本人いわく3〜4キロ落ちしてしまうなど、小園らしさを発揮できぬまま悔しいデビュー戦となってしまった。

【ベテラン捕手の気遣い】

 ただ安打はすべて単打であり、守備の判断ミスも重なって"運が悪かった"といった向きもある。そのことについて問うと、小園は毅然とした態度でかぶりを振った。

「運が悪いで済めばいいですけど、結局ヒットゾーンに打たれているわけですし、自分がいいテンポで投げていたら、守備も安定したのかもしれない。後手後手のピッチングになってしまったことで、こういう事態が起こったと思うんです」

 すべては自分の責任だと、小園は潔く認めた。

「ところどころでいいボールはありましたが、0か100かというピッチングだったと思います。100のボールを投げたあとに、引っかけて0のボールを投げたり、2球で追い込んでいたにもかかわらず、変化球が甘く入ったり、落ち切らずに失点したり......。そういうのはもったいないし、やはり70〜80ぐらいのボールを常に投げられるようにならなければいけない」

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