ヤクルト先発投手陣は「いくら考えてみても苦しい...」 真中満が「12勝」を期待するキーマンは? (3ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi

【投手は吉村貢司郎、野手は長岡秀樹に期待】

ーー開幕から粘り強く戦っている間に、奥川恭伸投手をはじめとする故障者たちが復帰をしてくるという形が理想ですけれど......。

 そんなに都合よくいくかどうかはわからないけど(苦笑)、たしかに奥川には今年こそ復帰して、ローテーションを守ってもらいたいと思います。ようやくキャッチボールを始めたという報道もあったけど、1カ月では戻れないかもしれないけど、せめてゴールデンウイーク頃にでも復帰してもらえると、夏場を前にすごく助かるんですけどね。

ーーⅤ奪回において、真中さんが注目する投打のキーパーソンを教えてください。まずはピッチャーだと誰でしょうか?

 ピッチャーは吉村ですね。彼には2ケタは勝ってほしい。10勝ではなく、12勝を目指すぐらいの意気込みで臨んでほしいですね。昨年は、いいピッチングをするんだけど、ここぞという時の決め球が甘くなる傾向があった。でも、今年のオープン戦を見る限りでは、きちんと狙ったところに投げる確率が高まっている。期待していいと思います。

ーーでは、バッターのキーパーソンは誰でしょうか?

 長岡秀樹かな? 実質2年目となる去年はバッティングで苦しんで、打率.227だったけど、今年はせめて.250は打ってほしい。

 レギュラーになって3年目なので、相手ピッチャーから研究されているけど、もちろんこちらだって相手ピッチャーのデータもあるわけだから、もっと打率を上げるように頑張ってほしいし、そうなれば打線の破壊力はさらに増しますからね。

ーー真中さんは、スワローズを2位予想しています。当然、昨年は7勝17敗1分と大きく負け越したタイガースを倒さなければ、2位はおろか、上位進出もままなりません。「打倒タイガース」に向けての秘策、心構えがあれば教えてください。

「秘策」があれば、そもそもそんなに負けていないですよ(苦笑)。さっきも言ったけど、タイガース戦こそ「先取点をとる」ということがさらに大事になってきますよね。

 先制点を許してしまうと、どうしても昨年の対戦成績もあって、心理的に重圧もかかるし、作戦も後手、後手に回ってしまうので、バッターは「何としてでも先取点を奪う」という意識、ピッチャーは「絶対に先制点は与えない」という思いで臨んでほしいですね。

ーー今年は、就任5年目を迎えた髙津監督の契約最終年となります。当然、期する思いも大きいでしょうね。

 勝つことは大前提なんだけど、髙津監督は一貫して「育てよう」「経験を積ませよう」という意識を持って采配していると思います。監督自身は「最終年だから」という意識はないと思うけど、ぜひ昨年の悔しさをバネにして、これまでの成果を発揮してほしいです。

ーー今年の秋には、真中さんに「前年5位から優勝できた理由」について伺いたいと思います。

 いいですね。ぜひ、今シーズンもスワローズに注目して解説しながら、OBとして、今年も期待して見守りたいと思います。

終わり

第1回<【真中満のセ・リーグ順位予想】巨人は「Bクラス」も打倒・阪神の「一番のダークホース」 中日、ヤクルトは躍進>

第2回<【真中満のパ・リーグ順位予想】西武が大躍進にソフトバンクは「Bクラス」...オリックスの「山本由伸の穴」は不安なし>

第3回<ヤクルト打線は「忖度なしでセ・リーグNo.1」 真中満が考えるベストオーダーは「6番・山田哲人」>

【プロフィール】
真中満 まなか・みつる 
1971年、栃木県出身。宇都宮学園、日本大を卒業後、1992年ドラフト3位でヤクルトスワローズに入団。2001年には打率.312でリーグ優勝、日本一に貢献した。計4回の日本一を経験し、2008年に現役引退。その後、ヤクルトの一軍チーフ打撃コーチなどを経て、監督に就任。2015年にはチームをリーグ優勝に導いた。現在は、野球解説者として活躍している。

プロフィール

  • 長谷川晶一

    長谷川晶一 (はせがわ・しょういち)

    1970年5月13日生まれ。早稲田大学商学部卒。出版社勤務を経て2003年にノンフィクションライターとなり、主に野球を中心に活動を続ける。05年よりプロ野球12球団すべてのファンクラブに入会し続ける、世界でただひとりの「12球団ファンクラブ評論家(R)」。主な著書に、『詰むや、詰まざるや 森・西武 vs 野村・ヤクルトの2年間 完全版』(双葉文庫)、『基本は、真っ直ぐ──石川雅規42歳の肖像』(ベースボール・マガジン社)、『いつも、気づけば神宮に 東京ヤクルトスワローズ「9つの系譜」』(集英社)、『中野ブロードウェイ物語』(亜紀書房)、『名将前夜 生涯一監督・野村克也の原点』(KADOKAWA)ほか多数。近刊は『大阪偕星学園キムチ部 素人高校生が漬物で全国制覇した成長の記録』(KADOKAWA)。日本文藝家協会会員。

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