「栗山英樹監督の勝負勘がさえていた証」村上宗隆と吉田正尚の打順入れ替えに成功 岩村明憲が指摘する準決勝の課題【WBC2023】
「PLAYBACK WBC」Memories of Glory
昨年3月、第5回WBCで栗山英樹監督率いる侍ジャパンは、大谷翔平、ダルビッシュ有、山本由伸らの活躍もあり、1次ラウンド初戦の中国戦から決勝のアメリカ戦まで負けなしの全勝で3大会ぶり3度目の世界一を果たした。日本を熱狂と感動の渦に巻き込んだWBC制覇から1年、選手たちはまもなく始まるシーズンに向けて調整を行なっているが、スポルティーバでは昨年WBC期間中に配信された侍ジャパンの記事を再公開。あらためて侍ジャパン栄光の軌跡を振り返りたい。 ※記事内容は配信当時のものになります
日本代表が第5回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の準々決勝でイタリア代表と対戦し、9対3で下して準決勝進出を決めた。日本は3回、6番・岡本和真の3ランなどで4点を先行。5回表に2点を返されたが、その裏、5番・村上宗隆、6番・岡本の連続タイムリーで3点を加えてリードを広げる。7回には4番・吉田正尚の本塁打などで2点を追加した。
投げては、先発の大谷翔平が5回途中まで2失点と好投。2番手の伊藤大海をはさみ、6回から今永昇太、ダルビッシュ有、大勢とつないで逃げきった。試合のポイントについて、2006、2009年WBC日本代表でメジャーリーグでもプレーした岩村明憲氏に聞いた。
イタリア戦で2本の長打を放つなど、復調の兆しを見せた村上宗隆
【イタリアを圧倒した大谷翔平の気迫】
先発した大谷選手は、普段よりもギアを1つも2つも上げた状態で挑んでいるように感じました。それだけこの試合にかける思いが強かったのだと思います。特別な気持ちがピッチングにも表れ、真っすぐ、スライダー、スプリットとどのボールも気迫がこもっていて、実際のボール以上にバッターを圧倒していた印象を受けました。
3回の先制の場面ですが、大谷選手のセフティーバントから一気に流れが変わりました。WBCの準々決勝という負けられない戦いで、本当にしびれる状況でプレーしているからこそできたセフティーバントでした。
イタリアはマイク・ピアッツァ監督をはじめ、とくに内野手にメジャーを経験している選手が多く、一、二塁間に内野手の人数を増やす"大谷シフト"を敷いていました。そしてこれは取ってつけたように聞こえるかもしれないですが、サードにはエンゼルスのチームメイトであるデビッド・フレッチャーが守っていた。結果的にピッチャーが捕球しましたが、相手のシフトと大谷選手の遊び心が重なった結果だったのだと思いました。
その後、吉田選手のショートゴロで先制し、村上選手が四球で歩き、岡本選手の3ランでこの回一挙4点を奪いました。今の日本の投手陣なら、4点とれば盤石と言えるような陣容ですので、岡本選手のホームランは勝負を決めた一発といってもいいと思います。
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著者プロフィール
中島大輔 (なかじま・だいすけ)
2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。