元プロ野球・池田駿はシーズン中ロッカーでも試験勉強 公認会計士合格後のキャリアを語る (3ページ目)

  • 門脇正法●取材・文 text by Kadowaki Masanori
  • 田中 亘●撮影 photo by Tanaka Wataru

【自ら退団し1日10時間の猛勉強】

ーーそして、2021年のシーズンを最後に、現役引退をすることになります。どうしてこの年を区切りとしたのでしょうか?

 プロ5年目でやめましたが、正直、最後の年は僕のなかで調子が一番よかったんです。投げているボールもスピードもコントロールも変化球も全部よくて。それでいても1軍に上がることが1回もなかったんです。これだけよくて、自分より成績を出していない選手たちが1軍に上がっている姿を見ていたら、なんか、自分に寄せられている期待というのはそれほどないのかなと思ってしまうところがあって。

 その翌年も同じパフォーマンスを出せるかもわからないし、あったとしても野球人生はそんなに長いものじゃないと思いました。球団編成の方に「来季、契約あります?」と聞いたら「来季も戦力と考えている」と言っていただいたんすけど......「セカンドキャリアを考えています」という理由で、やめさせてもらうことにしました。

ーー公認会計士へと全精力を傾けていくことになると思いますが、引退後はどのような感じで勉強をしていたんですか?

 2022年と2023年の2年間は、朝8時から正午まで勉強、昼食を食べて、子どもたちとちょっと遊んで、午後1時半から勉強を再開して夕方5時まで。それから子どもをお風呂に入れて、夕飯を食べて、子どもたちを寝かしつけたら、夜の9時くらいから11時、11時半くらいまでやっていました。1日10時間くらいでしたね。

ーー公認会計士の勉強で、一番大変だったのは?

 数字は好きなので簿記とかは大丈夫だったんですが、企業法などの法律科目は苦戦しました。あと、公認会計士の独占業務で監査がありますが、その試験科目の監査論は、つかみどころのない分野だなと感じていて、なかなか点数が伸びなくて苦戦しました。

ーーいつくらいから合格が見えてきましたか?

 公認会計士は、1次試験と2次試験があって、1次は毎年5月と12月にあります。僕は2022年12月に1次試験を受けたんですが、その前の全国模試で上位4〜5パーセントに入ってA判定が出ていたので、これならいけるかなと先が見えてきていました。そして、2023年8月の2次試験を受けて、11月に合格発表がありました。

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