岩隈久志がメジャーで感じた「文化の違い」と少年野球の指導者として大切にしていること (4ページ目)
岩隈が思い出すのは、メジャーリーグ時代にアメリカで出会ったチームメイトが、毎日のように明るく野球を楽しんでいた光景だという。
「メジャーリーグに行ってから最初に驚いたのは、日本との文化の違いでした。試合前のロッカールームでチームメイトが大音量で音楽を流しながら踊っていたり、ビリヤードに熱中していたり......。でも、ユニフォームに着替えた途端に、彼らの表情は一変するんです」
そんな彼らから学んだのは、「野球を心の底から楽しむこと」だという。
「もちろん結果が求められる厳しい世界ではありますが、そんな状況も忘れてしまうくらい、全力で野球を楽しんでいるチームメイトの姿が印象に残っていて。日本の子どもたちにもとにかく楽しんでもらいつつ、かつメリハリをつけて野球に取り組んでもらいたい。
2022年3月に立ち上げた青山東京ボーイズで、これからも子どもたちと一緒の時間を共有しながら、さまざまな形で野球の楽しさを広めていきたい。そんな気持ちで、成長を見守っています」
そう意気込む岩隈の顔は、グラウンドに射す陽の光に照らされて輝いていた。
【プロフィール】
岩隈久志(いわくま・ひさし)
1981年4月12日生まれ。1999年にドラフト5位で近鉄に入団。2年目に初勝利、2003年に15勝を挙げるなどエースとして台頭。2005年には楽天に移籍して初代開幕投手を務めた。日本球界で通算107勝、沢村賞1度、最多勝2度など多くのタイトルを獲得。2012年にメジャーリーグのマリナーズに移籍し、7年間で63勝をマーク。2015年にはノーヒットノーランを達成した。2018年オフに巨人に移籍して日本球界に復帰し、2020年シーズンをもって現役を引退。2021年にマリナーズの特任コーチに就任。同時に、中学硬式野球チーム「青山東京ボーイズ」のオーナーを務めながら指導を行なっている。
【取材協力】(株)PACE Tokyo、秋山高志
著者プロフィール
白鳥純一 (しらとり・じゅんいち)
ライター。ソウ・スイート・パブリッシング所属。WEBサイト「キングギア」でのライティングをきっかけに取材活動を開始。スポーツの取材やインタビュー記事を中心に執筆を続けている。
【写真】現在の岩隈久志フォトギャラリー 少年野球の指導で自らノックも
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