オリックス強力投手陣の礎をつくった? 増井浩俊が入団2年目の山本由伸に送ったアドバイス (2ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi

【強力投手陣の礎を築いた】

── 当時のオリックスは、12球団でもっとも優勝から遠ざかっており、いわゆる"暗黒時代"でした。

増井 ただ日本ハムにいた時から、若い投手が出てきている印象がありました。移籍してからは、僕は先発、中継ぎ、抑えを経験していることもあって、若手からいろいろとアドバイスを求められました。たとえば先発投手の場合、大事なことは"試合をつくる"ことです。リリーフ陣やチームのことを考えると、なるべく長いイニングを投げないといけない。そのためにはどういった調整をして、どういうピッチングをするのかなどを伝えました。

── 増井さんが移籍された時、山本由伸投手は入団2年目でした。

増井 当時、(山本)由伸は「打たれた時の切り替えがうまくできないんです」と言っていました。僕は「全試合抑えられる完璧な投手なんていないよ。次、やり返せばいいんだよ。1年間トータルして、最終的に好成績になればいいんじゃないかな」とアドバイスしました。2018年は由伸が中継ぎとして32ホールドを挙げてブレイクした年です。何かしらの好影響を与えられていたらうれしいですね。

── 増井さんから見て、山本投手のすごいところはどこだと思いますか。

増井 3年連続して投手四冠(最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率)といった結果もさることながら、由伸は「自分を持っている」ところです。やり投げトレーニングにしても賛否両論あったようですが、自分に合っていると信じたことを貫き通して結果を出しました。今年のすり足でクイックのように投げるピッチングフォームにしてもそうです。

── そういえば、日本ハム時代は大谷翔平選手とも同僚でした。

増井 投手として見た場合、ダルビッシュや由伸のほうが変化球は多彩で、器用さはあったと思います。ただ、165キロのスピードボールを投げる大谷のスケールの大きさはこの3人のなかでは一番でした。とはいえ、メジャーでは球の速い投手はいくらでもいるので、正直、もう少し苦労するかなと思っていました。しかし、スイーパーやツーシーム、スプリットなど器用に駆使していますし、奪三振率も年々上昇。さらなる進化を遂げているのは、さすがというしかありません。

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