高木豊が現役ドラフトに感じた球団による温度差 開催時期変更も提言「選手ファースト」 (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

【実施時期の見直しを】

――今回の現役ドラフトも2巡目の指名は行なわれず、各球団1名ずつ計12名の選手が移籍することになりました。

高木 前回よりも実績のある選手が多く出ていましたが、それでも2巡するほどいい選手はいなかったということでしょう。

 それと、現役ドラフトはプロ野球のさまざまなイベントの中で一番最後。今回も開催されたのは前回と同じ12月8日でしたが、トライアウトやドラフト会議も終わって、この時期はどのチームもすでに来季の構想ができあがっている。つまり、足りない部分や強化したい部分を「現役ドラフトでなんとかしよう」というチームはほぼないと思うんですよ。なので、現役ドラフトを実施する時期を考え直したほうがいいんじゃないかと思います。

――例えば、どの時期がいいでしょうか。

高木 オールスターゲームの時期でもいいですし......12球団の自由契約の選手が出揃った段階ですぐに実施するとか、ドラフト会議、トライアウトの前でもいいかもしれません。そういう時期に実施したほうが活性化すると思うんです。

 そうすると、現役ドラフトで指名された選手が秋季キャンプに参加することもできる。今のように12月に移籍先が決まっても、初顔合わせは2月の春季キャンプになってしまいます。秋季キャンプ中か、その前に開催すれば秋季キャンプからチームに合流できますし、2月からのキャンプにイチからじゃなくチームに馴染んだ状態でスタートできたほうがいいと思うんです。

――チームに慣れた状態で春季キャンプをスタートできるのは大きい?

高木 大きいですよ。チームに慣れるということもひとつの大切な作業ですから。「自由契約にならない、トライアウトも受けられない、現役ドラフトに出る」という選手は、球団も多少は戦力として見ているということだと思います。そうした選手が移籍先で活躍できる可能性を高めるために、秋季キャンプ前などに実施してチームに慣れてもらうだけでも全然違うはずです。

 それと、秋季キャンプに参加させて技術的に足りない部分や、いい部分・悪い部分などを把握できれば、春季キャンプも一軍と二軍のどちらでスタートさせるかを振り分けやすいはず。選手側も、秋季キャンプで見えた課題を12月や1月に改善することができるかもしれない。"選手ファースト"を徹底するのであれば、そうしてあげてほしいです。

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