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人的補償、現役ドラフトで移籍もわずか1年で戦力外 当事者たちが語った本音「育成契約はあるかなと...」「もうちょっとチャンスはほしかった」 (3ページ目)

  • 杉田純●文 text by Sugita Jun

昨年末の現役ドラフトでロッテからヤクルトに移籍した成田翔 photo by Murakami Shogo昨年末の現役ドラフトでロッテからヤクルトに移籍した成田翔 photo by Murakami Shogoこの記事に関連する写真を見る その一方で、現役ドラフト後も出場機会を増やすことができなかった選手や、逆に減らした選手もいた。現役ドラフトにより12人の選手が移籍を果たしたが、成田のほかにも笠原祥太郎(中日→DeNA)や古川侑利(日本ハム→ソフトバンク)など、6人が移籍後わずか1年で戦力外通告を受けた。

 成田は2015年、秋田商からドラフト3位でロッテに入団。17年に一軍デビューを果たすも、ロッテ時代の一軍登板は15試合にとどまっていた。それでもファームでは22年にチームトップの46試合に登板して3勝0敗1セーブ、防御率2.27と安定した成績を残していた。

「もしかしたら自分かな......という気持ちはなんとなくありました」

 そんな本人の予感どおり、成田は現役ドラフトでヤクルトに指名された。移籍が決まった時は「やるしかない。その気持ちしかなかった」と闘志を燃やしたが、与えられた時間は少なかった。

 移籍後初登板は、4月25日のDeNA戦。成田にとって2年ぶりの一軍マウンドだった。先発のサイスニードが5回に崩れ、ツーアウトからの登板になった。成田は死球を2つ出したが、佐野恵太や牧秀悟らを封じて、1回1/3を無安打、無失点に抑えた。

 同28日には神宮球場での阪神戦で登板し、二死一、三塁のピンチを招きながらも無失点で1イニングを切り抜けた。だが、翌29日の同じカードで運命は暗転する。

 阪神の上位打線と対峙した成田だったが、3本の長短打にミスも絡んで2失点。試合の大勢は決したなかでの2失点だったが、これが成田にとってヤクルトでの最後のマウンドとなった。

 トライアウト当日、成田は打者3人と対戦してキャッチャーフライ、ピッチャーゴロ、セカンドゴロと三者凡退。シュート、スライダー、チェンジアップを織り交ぜてテンポのいい投球をアピールしていた。

「戦力外になってから期間は空いたんですけど、試合感覚があんまりないなかで、ある程度いつもの打たせてとるピッチングができたんで......緊張感もなく、自分のなかではシーズン同様のメンタルとプレーだったかなと思います」

 成田はまっすぐ記者を見つめながら答えた。表情は緩まないが、やりきったという気持ちは言葉の随所に滲み出ていた。

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