阪神が日本一に王手! 岡田監督の勝負手に応えた猛虎打線で光った森下翔太の冷静さ (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

 大卒ルーキーは強い気持ちを持つ一方で、ボールの待ち方は冷静だった。

「コントロールは多少アバウトに来ると思っていました。そこまでインコースとは狙わず、フォークか真っすぐか。フォークは(低めを振らないように)高さだけ気をつけながら、真っすぐを打ちました」

 つづく4番・大山悠輔がセンター前タイムリー。オリックスの4番手・阿部翔太から7番・坂本が2点タイムリー三塁打を放ち、阪神はこの回に計6点を奪って試合をひっくり返した。

 最終回は守護神の岩崎優が3人で締めて逃げきり。痛いミスで失点しながら、全員の力でなんとか取り返そうという気持ちを前面に表し、コンパクトでしぶとい打撃でオリックスの強力ブルペンを攻略してみせた。

「明日はちょっとゆっくり休みたいですね」

 前日に続き、勝利監督インタビューの第一声で超満員の阪神ファンを爆笑させた岡田監督は、裏の通路で待ち構える報道陣に対してその意図を説明した。

「こんなに緊張感あるなかでずっと休んでなかったからな。最初から、今日の勝ち負けに関係なく、明日は休もうと思っていたよ。ここまで来て、万全の体勢にしたいしな、明後日(の第6戦)。みんな、気が張り詰めてここまで5試合きたわけやから」

 甲子園での3連戦では地鳴りのような大声援にあと押しされた阪神が1敗のあとに2つ続けて勝ち、3勝2敗で王手をかけた。第4戦で139日ぶりの一軍登板を果たした湯浅京己が5戦目には8回を三者凡退、2奪三振で流れを引き込むなど、いい形で勝利して勢いづいている。

 対して、本拠地・京セラドームに戻るオリックスはどう立て直してくるのか。関西ダービーの頂上決戦は、いよいよクライマックスを迎える。 

  プロ野球経験ゼロのジイさんが、なぜタイガースの監督に!?
“猛虎史最大のミステリー”に迫る傑作エンタメ・ノンフィクション書籍
『虎の血 阪神タイガース、謎の老人監督』
村瀬秀信・著  1980円(税込)
2024年2月5日発売 予約注文受付中!>>

プロフィール

  • 中島大輔

    中島大輔 (なかじま・だいすけ)

    2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る