ヤクルト長岡秀樹の「逆襲のシナリオ」実力不足を思い知らされた失意の1年 (2ページ目)
「西都でお世話になった方たちには申し訳ないのですが、『もうここには絶対に来ない。二軍には落ちないぞ』と、それが恩返しだという気持ちが強かったので、今回西都に戻ってきて悔しい気持ちはあります。でも逆に、『また1からやってやるぞ。もっともっとやらなきゃダメなんだ』という思いで西都に入りました」
フェニックスリーグの期間中、長岡の練習や試合に向き合う姿勢は強く印象に残るものばかりで、聞きたいことが日ごとに増えていった。
【2番を任される選手に】
試合前練習のティー打撃中、池山隆寛二軍監督が長岡に"バットのヘッドの抜け"についてアドバイスを送っていた。
「バットというのはヘッドの操作というか、しなりで打たないといけないんです。それが悪い時の長岡は、手の押し込みで頑張って振っているだけでしなりがない。力いっぱい振っているのでヘッドスピードが速くなっていると錯覚しがちなのですが、それだとバットを棒のようにしか扱えない」(池山監督)
力任せに振るだけではバットとボールが正面衝突するため、思ったほど飛距離は出ない。バットをしならせる感覚をつかむために、グリップを逆手に持つなど、ふたりのやりとりは続いた。
「一軍のピッチャーはボールが強いので、なんとか弾き返そうと必要以上に力が入り、体を振って飛ばそうとしてしまうんです。フェニックス期間中、悪くなった時に自分の戻れる場所をしっかりつくって、来シーズンにつなげてほしい」
池山監督からの助言について、長岡は「そこは僕も感じていました」と言った。
「バットを木の棒のように使っているな......という感覚はあるので、しっかり扱えるように取り組んでいます。今年、結果が出なかった理由を挙げたらキリがないのですが、一番は自分の実力がなかったこと、技術が足りなかったことだと思います」
フェニックスリーグでは、ほとんどの試合で「2番」を任された。髙津臣吾監督は10月19日に視察で西都を訪れた際、その意図についてこう説明した。
「バントをたくさんやらせるとか、彼に対する課題のために2番に置いています。今のチームのラインアップを考えると、彼が2番に入ってくれるのが一番。ただそのためには、もっともっと成長してほしいですね」
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