ヤクルト長岡秀樹の「逆襲のシナリオ」実力不足を思い知らされた失意の1年

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

 今シーズン、チームのピンチを何度も救った守備ついては「まだまだだな、という気持ちが強いですね」と話した。

「よかった守備より、無駄な出塁をさせてしまったなとか、そっちのほうが強く残っています」

 土橋コーチに、久しぶりにノックした長岡の印象について聞くと「そんなに大きく変わんないですよ」と苦笑いしてこう続けた。

「ただ、余裕と自信がすごくついているように見えました。余裕ができると雑になりがちなんだけど、そこも気をつけながらできている。守備って、アウトにできるものをしっかりアウトにすることが一番大事で、それがほどよくできるようになってきています」

 一軍のレギュラー遊撃手に値する守備かどうか聞くと、こんな答えが返ってきた。

「土台さえしっかりつくってしまえば......。あいつら(長岡と同期の武岡龍世)に関しては、1年目からコロナ禍の影響で二軍でも試合がなかったので、土台づくりのための地味な作業に時間を割けたんです。それが完璧とは言わないけど、そういう時間が多かった。土台さえできれば、あとは実戦で経験しながら応用作業を覚えていくだけですから」

【当たり前のことを全力で】

 フェニックスリーグでは、練習から試合まで一つひとつの動きが丁寧で、緊張感があった。とくに印象深かったのが、打席で四球を選んだあと、捕手がボールを少し逸らした場面だった。長岡は転がるボールを目で追いながら、セカンドを狙おうと一塁へ走りだしたのだった。

「自分より年下の選手もいますし、ここに来ているメンバーだったら、僕がお手本にならないといけない。隙を見せてはいけない、当たり前のことを全力でという気持ちを持ちながらやっています」

 来シーズンについての目標を聞くと、長岡はこう答えた。

「今年の反省を生かしてレベルアップしたいのと、本当にチームの足を引っ張ってしまったので......来年はまた1からレギュラーを獲りにいかないといけない立場ですし、必ず獲れるように。そのなかで、いつまでもテツさん(山田哲人)、ムネさん(村上宗隆)、そしてノリさん(青木宣親)に頼ってばかりいられません。若手の底上げの代表として、自分が引っ張っていけたらいいなと。このフェニックスリーグでも、もちろんチームを引っ張る気持ちでやっています」

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