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高橋慶彦はロッテでやらかし阪神にトレード「うれしかった。でも縦縞は似合わなかったね」 (3ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki

 子どもの頃からファンだったチームに入って、そのユニフォームが似合うか否か。そこまで気になるほど、高橋にとって阪神は特別だった。そのなかで、マスコミの注目度は広島に比べて何倍も高かったと思われるが、移籍1年目のキャンプで戸惑いはなかったのだろうか。

「それはオレ、知ってたから。ただ、注目度が高いから難しいと言ったら、そうかもしれない。マスコミだけじゃない、OBもたくさんいるからね。そういうなかでもちゃんと仕事すればいいんだけど、仕事できないと大変じゃないかな。早くから活躍した若い選手はとくに。あと阪神ファンって、けっこう野次がきれいですからね(笑)」

【開幕前に起きたまさかの出来事】

 91年2月の高知・安芸キャンプ、第1クールのグラウンド。日が暮れるまで特打ちを行なう高橋の姿があった。渾身の力でバットを振り続け、バッティンググローブに血がにじむほどだったという。期待されていることを自覚し、ひたむきに取り組んでいた。

「練習はした。それまでの練習量と変わらないと思ってたよ。ただ、もうカープにいた高橋慶彦じゃないからね。自分で力が落ちてるのはわかっていたから。ロッテでずっとレギュラーとして出ていたらまた違ったんだろうけど、そうじゃなかったし」

 もともと、レギュラーじゃなきゃプロ野球選手じゃない、という考えを持っていた高橋。新天地の阪神でプロ17年目を迎えた当時、34歳だった。もはや、自分の考えが通らないことも自覚していた。ベテランと言われる年齢での移籍自体、レギュラー獲りの難しさがあるのだという。

「年をとってトレードで入った選手は、いったんレギュラー獲ったとしても、外れたら、また獲るのは難しいんよね。焦りも出るし。今のトレードは年とった選手でも役割がはっきりしているけど、当時は違うからなおさらね。それでオレの場合、阪神に行ってキャンプはよかったけど、開幕前にぶつけられてね。オープン戦の始球式で」

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