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ドラフト注目投手を名物記者が語り合う「ロマンの塊」「2ケタ狙える逸材」は誰? (5ページ目)

  • 菊地高弘●構成 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

加藤 馬淵史郎監督(明徳義塾)が「大事な試合は前田じゃあ!」って託して、それに見事に応えたのもすごい。今夏の大阪大会はコンディション面に不安があって完全燃焼できず、「はたして前田はドラ1候補なのか?」という雰囲気があったじゃないですか。それを自らの力で払拭してみせた。

菊地 僕は一塁側、三塁側のサイドから見たほうが、前田のすごさを体感できると感じています。前田の投げるストレートって、ボールがひしゃげて、楕円に見えるんです。ゴムみたいにビューンと伸びて、加速感がある。球速があまり出ないことを指摘されますけど、あの球質はスピードガンでは計れない価値があります。そこへコントロール、変化球の精度、マウンド度胸と勝てるピッチャーに必要なものを全部持っている。

加藤 そうなんですよ! 台湾との決勝戦は、すごいアウェーの雰囲気のなかで戦っていました。「シャンシャンシャン!」と打楽器が打ち鳴らされて、へそ出しのチアリーダーが華麗に踊って、お調子者のMCの声がスピーカーを通して響きわたる。社会人の都市対抗を上回る音量だったと思います。そんななか、前田は「甲子園の下関国際戦や報徳学園戦に比べればたいしたことない」と素知らぬ顔で投げていたでしょう。

菊地 とてつもないメンタルですよね。こういうタイプは阪神とか巨人に向いていると感じます。宮城大弥(オリックス)のような活躍イメージが湧きます。

加藤 間違いなくドラフト1位で獲っておきたい投手ですよね。

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加藤弘士(かとう・ひろし)/1974年4月7日、茨城県水戸市生まれ。幼少期は鍵っ子で近所の茨城県営球場にて高校野球を観戦して過ごす。小4だった84年夏、木内幸男監督率いる取手二の全国制覇に衝撃を受ける。茨城中、水戸一高、慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、97年に報知新聞社入社。「報知高校野球」の広告営業などを経て、2003年からアマチュア野球担当記者。アマチュア野球キャップ、巨人、楽天、日本ハム、西武の担当記者を務め、14年から野球デスク、20年からはデジタル編集デスク。9年間のデスク生活を終え、今年から編集委員として現場復帰。スポーツ報知公式YouTube「報知プロ野球チャンネル」のメインMCも務める。著書に「砂まみれの名将 野村克也の1140日」(新潮社)。趣味は昭和プロレスの考察


菊地高弘(きくち・たかひろ)/1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数

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