梨田昌孝が語る「10.19決戦」秘話 近鉄とロッテの伝説のダブルヘッダー前チームの雰囲気は「ガツガツしていなかった」

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

【"パイプ役"だった梨田から見た決戦前のチーム】

――10.19決戦を迎える直前の日程をあらためて振り返ってみると、10月7~19日にかけての13日間で15連戦(10日、19日がダブルヘッダー)という厳しい日程でした。

梨田 そうですね。ただ、シーズン前半に雨で何試合か流れたことで、いいピッチャーをうまい具合にローテーションで回せたんです。それでシーズン後半に、かなりゲーム差を離されていた首位の西武に追いつくことができた、とも言えるんですよ。10月に入ってからの日程だけを切り取られて、「近鉄はえらい大変やったな」と言われがちですが、僕らとしては「ツキがある」と思っていました。「ひょっとしたら優勝もできるぞ」という思いも抱いていましたから。

――タイトな日程は10.19決戦のコンディションに影響しましたか?

梨田 ベストコンディションの選手はそんなに多くなかった気がします。野手はごまかしがききますが、特にピッチャーは疲れていましたね。エースの阿波野秀幸は、傍から見ていてもそうですし、実際に球を受けてみても本当にクタクタでした。

 本来は、もうちょっとバッターの体勢を崩せるボールがあったり、速い真っ直ぐがあったりするのですが、ボールが全然"きて"いませんでしたし、本当に「精神力だけが支え」という感じでした。

――ちなみに、仰木監督は「勝つことに対してガツガツという感じじゃなかった」ということでしたが、ダブルヘッダーを連勝すれば優勝が決まるという大一番を前に、選手たちに対して何か話をしましたか?

梨田 仰木さんは普段からそうなのですが、第1試合の前にも選手たちを集めて話すことはなかったです。スコアラーから送られてきた資料に目を通したりはしていましたが、特別に何かを伝えられることはありませんでした。

――第2試合の前も同じですか?

梨田 第1試合が終わって第2試合が始まるまでの休憩が20分ぐらいしかなくて。着替えてサンドイッチか何かをちょっとつまんだら、5分前の集合時間。みんなバタバタしながらベンチに集まってきていましたね。僕は引退間近の選手でスタメンでもないし、1試合目に勢いのつく勝ち方(自身の決勝タイムリーで勝利)ができたので、「2試合目も勝つのかな」と勝手にいいイメージをしながら休憩時間を過ごしていましたよ。

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