セ・リーグCSファイナルを高木豊が展望 阪神は広島とDeNAのどちらが戦いやすい? (4ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

【阪神は間隔が空く中でどう調整できるか】

――阪神が広島と対戦した場合の勝敗はどうなると思いますか?

高木 阪神の(アドバンテージの1勝を含む)4勝1敗、といったところでしょうか。広島の1勝は、九里亜蓮が頑張るかなという予想です。

――ただ、短期決戦は何が起きるのか読めない部分もありそうです。

高木 そうですね。阪神はリーグ優勝してから1カ月以上経っていますし、シーズン最後の試合からも2週間空くわけで、調整が本当に難しい。勝ち上がってくるチームは試合勘を取り戻してファイナルステージに乗り込んできますから、それを待つ側も状態がよければいいですが、よくなければ"ドンデン返し"を食らいかねません。

――岡田監督が2005年に阪神をリーグ優勝に導いた時は、パ・リーグにプレーオフがあり、セ・リーグにはありませんでした。阪神は真剣勝負の実戦から遠ざかっていたことで、プレーオフを勝ち上がったロッテとはチーム状態に差があったように見えました(結果は、ロッテが阪神に4連勝して日本一に)。

高木 同じ轍は踏まないというか、過去の失敗を成功に変えるためにはどうすればいいかを岡田監督は考えていると思います。フェニックス・リーグに参加したのはその一環だと思いますし、そこでも目を光らせているはず。ただ、状態が上がるか上がらないかは監督ではなく、選手自身の問題ですけどね。

――その調整は、ピッチャーよりもバッターのほうが難しそうですね。

高木 そうですね。アベレージヒッターは早めにヒットが出たらなんとなく感じをつかめると思いますが、長打力があるバッターはいいか悪いか、はっきりしますからね。そういう意味で心配なのは大山と佐藤です。

 でも、大山はフォアボールが多いことでも証明されているように、球の見極めの部分でひとつの形が確立できました。佐藤も後半は上り調子で終わったので、その調子を維持できれば打てるでしょう。阪神はピッチャー陣が計算できるので、バッター陣がいかにつなぐ意識を持って1点を取っていくのか。そこがポイントになるでしょう。

【プロフィール】
高木豊(たかぎ・ゆたか)

1958年10月22日、山口県生まれ。1980年のドラフト3位で中央大学から横浜大洋ホエールズ(現・ 横浜DeNAベイスターズ)に入団。二塁手のスタメンを勝ち取り、加藤博一、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」として活躍。ベストナイン3回、盗塁王1回など、数々のタイトルを受賞した。通算打率.297、1716安打、321盗塁といった記録を残して1994年に現役を引退。2004年にはアテネ五輪に臨む日本代表の守備・走塁コーチ、DeNAのヘッドコーチを2012年から2年務めるなど指導者としても活躍。そのほか、野球解説やタレントなど幅広く活動し、2018年に開設したYouTubeチャンネルも人気を博している。

■元プロ野球選手のYouTuberのパイオニア

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