日本インカレ400m女王・鳥原早貴の今 ソフトバンク本社から志願してホークス広報に「野球と陸上のコラボが密かな野望です」 (3ページ目)

  • 和田悟志●取材・文 text by Wada Satoshi
  • 繁昌良司●撮影 photo by Hanjo Ryoji

【スポーツへの思いを捨てきれなかった】

 大学卒業後、鳥原さんが新卒で入社したのは、ホークスではなく、グループ会社のソフトバンクだった。

「一番になった経験を持つ人が応募できる『No.1採用』に応募しました。その仕組みが面白いなと思いましたし、チャレンジングでアグレッシブな社風にも惹かれました」

 ソフトバンクでは東京の本社に勤務し、5年間、法人営業を担当。陸上競技に打ち込んだこれまでの10年間とは生活が一変した。

 だが、鳥原さんの心の中にある思いが芽生える。

「(陸上競技を)引退してからの5年間、スポーツを見る側になって、スポーツが持つ力ってすごいなっていうのを再認識しました。スポーツへの思いを捨てきれていなかったんですね。スポーツに携わる仕事がしたいという強い思いがありました」

 ソフトバンクグループには「フリーエージェント制度」というものがあり、鳥原さんはその制度を利用してホークスに応募した。そして、希望が叶って出向が決まった。

メディア向けの情報発信が日々の主な仕事だメディア向けの情報発信が日々の主な仕事だこの記事に関連する写真を見る 最初の2年間はスポンサー営業を担当した。その後広報に異動し、出向期間を終え、昨年4月に正式にホークスに転籍した。

 鳥原さんが所属する広報室の仕事は、選手関連のメディア対応を担う球団広報と、イベントやグッズなどの広報を担う事業広報とがある。鳥原さんは後者を担う。

 たとえば、女性向けのイベント「タカガールデー」を前身とする「ピンクフルデー」や、毎年恒例の「鷹の祭典」といった一大プロジェクトの情報を発信するのが仕事だ。

「主要なプロジェクトのPR担当を任せていただくのは、すごく自信につながっています」と、やりがいは大きい。

"スポーツに携わりたい"という思いは強かったものの、正直に明かせば、野球は詳しくなかった。ホークスに移った当初は、それで苦労したこともあったという。

 ただ、好きこそものの上手なれ、とはよく言ったもので、試合を見るたびに、ホークスを好きになっていき、野球や選手について詳しくなっていった。

「それでも、野球って奥が深いので、戦術とか戦略とか、まだまだ理解がおよばないところはいっぱいあるんですけどね」

公式動画配信サービス「ホークスTV」の取材班と談笑する鳥原さん公式動画配信サービス「ホークスTV」の取材班と談笑する鳥原さんこの記事に関連する写真を見る

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