なぜ阪神はセ・リーグを独走したのか? 広岡達朗は「岡田彰布流コミュ力」と「選手との距離感」を評価 (3ページ目)
「指揮官の思いどおりに戦うことができれば、毎年優勝できる。でも、そうはいかない。必ず想定外のことやアクシデントが起きるものだ。それをいかに最小限に食い止めることができるかで順位は決まってくる。今年の阪神にしても、キャッチャーの梅野(隆太郎)がケガで離脱しても坂本(誠志郎)がしっかりカバーし、エースの青柳(晃洋)が絶不調でも村上(頌樹)や大竹(耕太郎)が出てきて穴を埋めた。単なるラッキーではない。それは日頃から選手を観察し、自分の思いを選手に伝えているからだ」
今年11月に66歳となる岡田監督は、12球団最年長指揮官である。それでも現代の指揮官として最も必要な要素であるコミュニケーション力が備わっていると、広岡は語る。
「岡田は選手に直接言うのではなく、コーチに進言したり、うまくマスコミを使って自分の思いを伝える。彼なりのジェネレーションギャップを埋めるやり方なんだろう」
年齢的に言えば、ヤクルトの高津臣吾監督、広島の新井監督、中日の立浪和義監督、DeNAの三浦大輔監督のほうが選手と近いはずだ。それなのに、今季セ・リーグを独走したのは、岡田監督のそうした手腕を褒めるべきなのだろうか。
「最近の監督は選手の気質が変わったせいなのか、必要以上に気を遣いすぎている。フレンドリーにすることが選手の心をつかむことの第一歩だと勘違いしているヤツが多い。そんなのはプロの監督ではない。プロフェッショナルである以上、指揮官は威厳を持つべきである。現代の若者との距離感を縮めるために、なんでいい大人がへりくだる必要があるのか。アメとムチをうまく使い、相手が納得できるように理論立てて話していけばいいだけのことだ。
それができないのは、勉強していない証拠。野球だけで知識を得るのではなく、あらゆる分野に目を配り、野球以外の成功者からも学ぶ。オリックスの監督をしていた頃までの岡田はまだ若かったけど、意外にも聞く耳を持っていた。他人の意見を自分なりに咀嚼し、研究していったんだろう」
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