篠塚和典が振り返る、江川卓が引退を決意した一球「小早川毅彦にホームランを打たれなければ...。現役を続けてほしかった」

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

篠塚和典が語る「1980年の巨人ベストナイン」(2)

江川卓 後編

(中編:伝説の球宴8者連続三振 9人目にカーブを投げた瞬間、篠塚和典は「嫌な予感がした」>>)

 篠塚和典氏が語る江川卓氏のエピソード。最後となる後編では、グラウンド外での江川氏との交流や、江川氏が引退した時の篠塚氏の思いなどを聞いた。

1987年9月20日の広島戦で小早川毅彦にホームランを打たれた江川1987年9月20日の広島戦で小早川毅彦にホームランを打たれた江川この記事に関連する写真を見る

【江川から「シノ、いつも悪いね」】

――練習や試合以外で、江川さんと交流する機会はありましたか?

篠塚 現役時代は野手とピッチャーなので交流はあまりなかったのですが、引退してお互いが解説者になってからは、東京ドームで会ったりした時に少し会話をすることはありました。最近で一番話したのは、江川さんのYouTubeチャンネル(『江川卓のたかされ』)に出演させていただいた時ですね。

 ユニフォームを脱いでから久しぶりの対談でしたし、あれだけ長い時間話したのは現役時代もありませんでした。自分が中学生の時に初めて高校生(作新学院/栃木)の江川さんを見て思ったことや、自分が高校生(銚子商/千葉)になって対戦して感じたこと、プロ入りしてチームメイトになってから感じたことなどを話したのですが、ものすごく懐かしかったですね。

――篠塚さんは1980年代の巨人ベストナインを選んだ際に、「江川さんは、どの年代を含めても最高のピッチャー」と選考の理由を話していましたが、江川さんもそのことを知っていましたか?

篠塚 いろいろなメディアの取材で聞かれ、その度に「最高のピッチャーは江川さん」と答えていたからか、本人の耳にも入っていたみたいです。「シノ、いつも悪いね。俺の名前を出してくれて」と言っていましたよ(笑)。

――YouTubeチャンネルでは、選手時代に話せなかったことも話せましたか?

篠塚 そうですね。「セカンドからマウンドにいる俺を見ていてどう思ってた?」と聞かれたり、「シノがセカンドを守っている時は、本当に守備に助けられたよね」と言ってもらったり......あぁ、そういう風に思っていてくれたんだなと。懐かしく貴重な時間を過ごさせてもらいました。

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